2014年

10月

07日

学び:幻の受験参考書 42年目の完結 『思考訓練の場としての英文解釈』 2014年10月7日号

佐藤哲郎

(毎日新聞編集編成局記者)

 

 ある英語の受験参考書の第3巻が発売され、またたく間に売り切れた。「東大受験でもここまで必要ない」とすら言われた超ハイレベルの参考書。1973(昭和48)年に第1巻が発売されて以来、実に42年目の完結だ。

 多田正行著『思考訓練の場としての英文解釈(3)完結編』。風変わりな書名のこの参考書は、大手書店では9月5日の発売日当日に売り切れた。発行元の育文社(東京都千代田区)の山田克己代表取締役も「もっぱらネットや口コミで広まったようです」と驚く。

『思考訓練』シリーズ(2)の発売は80(昭和55)年。今春の大学志願者が約60万人とピーク時(92年度)の約92万人から激減する中、(1)は38刷、(2)は20刷と、受験参考書としては異例のロングセラーを続けている。ある一流私大のベテラン教員は「このグローバル化の時代に、70年代から続く受験参考書が人気なのは大変興味深い」という。とはいえ、聞いたこともないという人も多いだろう。理由は後述する。………