2014年

11月

04日

特集:中国大減速 日中首脳会談 大国意識強める指導部 2014年11月4日号

 ◇早期の関係修復は困難

天児慧
(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)

「尖閣国有化事件」の直後の2012年11月に習近平が、12月に安倍晋三が国のトップに就任して以来、今日に至るまで日中首脳会談は中断したままの異常な事態が続いている。11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で安倍・習会談が実現するのか、今後の日中関係の改善をどのように考えるべきか。日中関係の急激な悪化は一般的には10年の「中国漁船衝突」と12年の「尖閣国有化」といった尖閣諸島での日本政府の強硬姿勢に対し、中国側の怒りが爆発したためと言われてきた。しかし問題の本質はもっと深いところにある。

 大国意識の増大する中国指導部の戦略的行動は、すなわち「一つの引き締めと二つの突破」である。「一つの引き締め」とは大々的に「日本=悪」の雰囲気を作り、反日ナショナリズムをあおり国内で鬱積している不満や党内部での現指導部批判を引き締めることである。「二つの突破」とは、従来の日本イニシアチブによる日中関係の基本枠組みの突破と、東シナ海での主導権の確保、太平洋海域への影響力の拡大を目指した「第1列島線」(鹿児島─沖縄─台湾ライン─南シナ海)の突破である。………