2014年

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特集:原油急落と中東情勢 Part1 今なぜ原油急落か 「イスラム国」とは何か 2014年11月11日号

 ◇既存の国家を倒してイスラム法統治の国家を目指す

高岡豊
(中東調査会上席研究員)

 イスラム国は、今年6月にイラク第2の都市モスルを陥落させるなど攻勢をかけ、一挙に注目を集めた。その後、イラクのクルド地区、シリアとトルコの国境地帯、イラクの首都バグダッド近郊に相次いで侵攻した。

 米国は8月8日からイラク領内のイスラム国の拠点などへの空爆を開始したが、イスラム国の勢力を削ぐことができず、徐々に空爆範囲を広げている。9月23日からはサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダンなどのアラブ諸国も取り込んで、シリア領内にも空爆範囲を拡大。シリア領内のクルド人勢力への軍事支援にも踏み切り、10月20日には、トルコ国境に近い町アインアルアラブ(クルド名=コバニ)を防衛するクルド人部隊に武器・弾薬を空中投下した。イスラム国に対する軍事行動は、逐次的・対症療法的に拡大しているというのが現状だ。

 ◇シリア紛争で勢力回復

 イスラム国は、既存の国家を打倒して、イスラム共同体の最高権威「カリフ」を長とし、イスラム法で統治する国家の建設を目指している。6月末には「カリフ制」を樹立すると宣言し、「カリフ国」を僭称(せんしょう)した。………