2014年

11月

11日

経営者:編集長インタビュー 奥山泰全 マネーパートナーズグループ社長 2014年11月11日号

 ◇FXを軸に「銀行代わり」の存在目指す


 マネーパートナーズは、2005年6月に外国為替証拠金取引(FX)専業会社として設立された。07年6月には大証ヘラクレスにFX専業会社で初めて上場(13年5月に東証1部銘柄に指定替え)。取引システムの開発や手数料減に力を入れるなど、「顧客第一」の経営姿勢が評価され、矢野経済研究所によれば、14年8月時点の口座数は業界6位、預り高は8位で推移する。


── 膠着(こうちゃく)状態が続いた外国為替市場は9月に大きく動きました。

奥山 値動きの大きな相場は歓迎です。ドル・円相場はここ20年前後、1日当たり平均約1円、年10%程度の値動きがありましたので、今年の春から夏に掛けての動きが少なすぎました。9月以降、やや一方向的な値動きに見えますが、膠着後の反動という面があるのだと思います。

── 顧客の平均像は。

奥山 当社のFX口座数は24万口座で、預かり高は約450億円。1口座当たりの預かり金は20万円弱の計算です。1口座当たりの売買金額は月平均10万ドル前後で、手持ち資金に対して6~7倍のレバレッジを掛けて週1回余りの頻度で取引するような落ち着いたイメージです。30代半ばが中心で、最近は若い世代や高齢の顧客も増えてきました。

── 高レバレッジで高頻度に取引する投資家が多い印象でしたが。

奥山 もちろん、そういった投資家もいますが、逆に口座を持っていても、全く取引しない人もいます。当社にとっては、小口で取引頻度が少なくても、安定的に取引してくれる顧客が増えてくれたほうが望ましい。そのため、顧客層を広げるための取り組みに力を入れています。


 ◇最安水準の両替サービス


── 具体的には。

奥山 08年には100円から取引可能な「パートナーズFXnano(ナノ)」を開始しました。まずは小遣い感覚で投資を経験してもらう狙いです。小口資金で無理なく取引を始めた投資家のほうが、取引が長続きするというデータもあります。

 11年には外貨両替・受け取りサービスを始めました。口座を開いてくれた顧客が対象ですが、両替手数料は米ドル、ユーロ、英ポンド、スイス・フランなら1通貨単位当たり20銭と国内最低水準です。安すぎて追随する同業他社がいないほどです。

── 狙いは。

奥山 新たに口座を開設してもらうためには、広告宣伝費など1口座当たり数万円のコストが必要です。最近では、FXも一定の認知を得て新たに投資家を獲得するのが難しくなりつつあり、そのコストは上昇傾向にあります。しかも、口座を開設してもらっても、実際に取引してくれる顧客は2割程度にすぎません。

 そこで、当初の目的は両替であっても、まずは口座を開いてもらう狙いがあるのです。手数料を安くしたぶん、当社の負担は増えますが、口座獲得に必要なコストは従来に比べ10分の1以下で済みますから、口座を開いてくれた顧客のうち、例えば2%でも取引してくれればよい、という考え方です。

 今年9月には、マスターカードと共同で海外旅行者向けのプリペイドカードを提供し始めました。当社の専用口座に円を入金し、外貨に両替しておけば、入金時のレートで海外のマスターカード加盟店で決済したり、現金自動受払機(ATM)で引き出したりすることができます。クレジットカードに比べて為替手数料が少なく、ATMからの引き出し手数料も格段に安い点が特徴です。

 日本も今後はより一層ボーダーレス化が進んでいく見通しです。そんな中で、両替手数料が今のように高いままではどうしようもありません。将来的には、FXと並ぶ柱として、売り上げの半分を占めるようなビジネスに育てたいと考えています。

── 証拠金に対し取引金額を25倍以下に抑えるよう求める「レバレッジ規制」など、FX取引への規制強化が進みましたが、業界の現状は。

奥山 レバレッジ規制に関しては、リーマン・ショックを受けたもので、やや過剰と思える部分もあります。市場が正常化した今の状況に合わせて見直す必要があるでしょう。

現状では、すべての通貨に対して一律、25倍以下と定められています。しかし、為替ヘッジなど取引の目的や相場の状況に合わせて異なってもよいはずです。一方、値動きの大きな新興国通貨は、もっと厳しくしてもいいと考えています。

 取引画面の提示価格と実際に取引される約定価格に差が出てしまう「スリッページ」の問題もなくなってはいませんが改善しつつあります。

 ただし、取引をあおるような広告や宣伝記事がまだ目立ちます。一般の消費者にFXに対する誤解を与える恐れがあると心配しています。

 国内のFX投資家は300万~400万人、FX口座は800万口座と言われますが、逆に言えば、残りの1億人超からはまだ受け入れられていないということです。日本は全般的に金融リテラシーが低く、自分の資産を増やすすべを知らない人が少なくありません。一般の消費者にとって、両替や外貨保有、資産運用といった実際に役立つ手段としてFXを位置付けてもらえるようにしたい。日常的に銀行代わりに使ってくれるような存在になりたいと考えています。(Interviewer=横田恵美・本誌編集長、構成=池田正史・編集部)


 ◇横顔


Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A 33歳まで後ろ髪を束ねるほど長髪でした。携わった会社を上場させるまでは半人前、という思いから「一人前になるまで髪を切らない」と決めていたためです。

Q 最近買ったもの

A 2万円を掛けて「ガラケー」(従来型携帯電話)を修理に出しました。販売店に行っても、今ではガラケーは全く進化していないのですね。デザインや使い勝手が良かったため機種を変更したくありませんでした。

Q 休日の過ごし方

A 約1年前から毎月1~2回のペースでバイオリンを習っています。

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 ■人物略歴

 ◇おくやま・たいぜん

 1971年生まれ。三重県出身。慶応義塾大学商学部卒業後、ベンチャー企業や会計事務所、証券会社の顧問や取締役などを経て、2006年8月にマネーパートナーズ代表取締役就任。持ち株会社体制に移行した08年10月から現職兼任。43歳。