2014年

11月

18日

特集:世界低成長の「異常」 米国 労働市場の深層 2014年11月18日特大号

 ◇飲食店員、家事サービス……増える雇用は非正規ばかり

藤原裕之
(日本リサーチ総合研究所主任研究員)

 米国経済は現在、循環的な回復過程にある。回復を主導する個人消費を支えているのが、①家計のバランスシート調整の終了、②株高によって消費や投資が活発化する「資産効果」──という二つの要因である。しかし、これだけの要因がある割には、米景気回復の勢いは極めて弱い。これには景気循環の外で起きている、労働市場の構造的な弱さが関係している。

 家計のバランスシート調整は一巡した可能性が高い。家計の負債残高の対可処分所得比をみると、サブプライムローン問題が起きた2007年当時から3割以上低下し、同比率は昨年ごろから底打ち状態にある。住宅ローンは銀行の融資姿勢が厳しく依然低迷状態にあるが、自動車ローンや学生ローンは増加傾向にある。
 日本では昨年の株高で久々に資産効果がみられたが、米国の株価はリーマン・ショック(08年)前の水準を回復後もほぼ一本調子で上昇している。米国の家計が保有する金融資産の時価変動を08年10月から累積すると11兆ドルを超える水準に達し、国民1人当たりに単純換算すると3万6000ドル(約400万円)となる。日本で同様の計算を行うと1人当たり約4500ドルとなり、米国の家計は日本の8倍もの資産効果を享受していることになる。………