2014年

11月

18日

経営者:編集長インタビュー 森田仁基 ミクシィ社長 2014年11月18日特大号

 ◇モンストで復活、次は世界展開目指す

 IT(情報技術)サービス大手のミクシィは、主力事業だったSNS(交流サイト)の「ミクシィ」が不振で、2013年度1四半期から3四半期連続の営業赤字が続いた。SNS以外の事業柱を作るためにさまざまな試行錯誤を進めるなか、13年10月にリリースしたスマホ向けゲーム「モンスターストライク(モンスト)」が大ヒットして黒字転換。低迷していた株価も1年で20倍以上上昇した。一方この間、昨年6月と今年6月の2度も社長交代があり、社内の混乱を露呈した。

── 短期間に社長が相次いで交代。何が起きていたのですか。

森田 何だったのでしょうか。(創業者の)笠原(健治会長)に聞いてください(笑)。昨年6月に朝倉(祐介前社長)が就任した頃は、SNSのミクシィがピークアウトしていた時期で、業績も芳しくなかった。変化が必要でした。
 ただ、会社の整備が始まる最中に、スマホゲームのモンストが新事業として立ち上がりました。そして、ゲーム事業を引っ張ってきた自分が社長になるのがいいだろうという判断になったのだと思います。
── モンストは、10月27日に世界での累計利用者数が1500万人を突破し、快進撃を続けています。
森田 10月10日にサービス開始から1年を迎えました。今後も面白くできる要素や、新しくチャレンジできる要素があり、伸びる余地はあります。改善と改造を重ねながら、新たな価値を生み出していくつもりです。半年後には全く違うゲームになっているかもしれません。
 グローバル展開にも力を入れています。5月から台湾で配信し始め利用者は100万人を超えました。10月には北米に進出し、12月までには韓国に進出します。中国ではテンセントと調整を進めています。成長のピークはまだ見えていません。
── いろんな企業が「第2のパズドラ(パズル&ドラゴンズ)」を狙っていました。なぜモンストはヒットできたのでしょう。
森田 僕らは「第2のパズドラ」を作ろうと開発していたわけではありません。「世の中にないものを作ろう」ということで開発し、そこがユーザーに受け入れられたと思います。SNSのミクシィなど人と人のコミュニケーションに関わるサービスを作ってきたなかで、その要素を十二分に生かしたゲームを出せました。市場環境もあります。パズドラやLINEのカジュアル(誰もが遊べる)ゲームがはやり始めていました。そこにタイミングよく投入できました。
 制作費は一般的な相場の1億円より相当安いです。ホームランを狙うためにバットをしっかり振って、まぐれは狙っていませんでした。

 ◇脱・一本足打法

── 売り上げ、利益ともにモンスト依存体質です。
森田 現在は、ミクシィ、ゲーム、結婚支援や写真アルバムなどの「ライフイベント事業」という3本柱があり、事業ポートフォリオは多角化できています。ゲーム以外の事業ももっと力を入れていきます。
── オフ(実生活)の領域にも広げていきますか。
森田 ライフイベント事業では、街コン(地域で開催する合同コンパ)を開催する「コンフィアンザ」を展開しています。ミクシィでコミュニティー内の知り合いが実際に会う「オフ会」が開催されるのと似ています。また、毎月1冊まで写真アルバムを無料で作れる「ノハナ」というサービスも成長しています。
 SNSのミクシィは、もともと「ファインドジョブ」という求人情報サイトからスタートしています。仕事という人生の転機に対するサービスで、今のライフイベント事業も人生の転機で僕らのサービスを使ってもらいたいという思いがあります。
── 新事業は?
森田 特定の分野はありませんが、今はスマホが外せない要素なので、スマホを軸に考えていきます。新しい環境やテクノロジーには、常に高いアンテナを張って挑戦していきたいと思います。
 14年度から社内で「トライアウト制度」という公募を四半期に1回行っています。新規事業計画を役員に提出して、役員が精査し、いいものは実現する制度です。ノハナはこうして生まれました。経営状況がいい今だからこそ、新しい種を植えて、次の事業の柱を作っていく。
 いつモンストのブームが終わるかわからないので、全力でがんばらないといけない。僕自身を含めて全員、本当に危機感しかありません。
── SNSのミクシィは?
森田 事業としては健全で、売り上げも伸びてきています。フェイスブック、ツイッター、LINE、ミクシィなど複数のSNSを使うのが当たり前になっており、1社が寡占化する時代は終わったと思います。いろんなサービスがユーザーの可処分時間を取り合うなか、ユーザーは複数のサービスをこなす流れになってきています。
 ミクシィが差別化できるのは、「コミュニティー」機能のように趣味・嗜好で集まれるところ。ユーザー層は、昔は若い子が使うミクシィのイメージがありましたが、今は男女比もだいたい半々で、25~30歳がボリュームゾーンです。大人になって新しい趣味で友人がほしいという時に使うなどに特化していきます。(Interviewer=横田恵美・本誌編集長、構成=谷口健・編集部)

 ◇横顔

Q 20代の頃はどんなビジネスマンでしたか
A 大学に5年間行って、就職せずにスポーツ用品店でアルバイトを続けました。その後、派遣社員としてi-mode向けのゲーム開発などに8年間携わりました。
Q 最近買ったもの
A バイト時代の店でスノボの板を買いました。10月初旬にワックスがけが終わり、家に届きました。
Q 休日の過ごし方
A ゴルフです。プレーの合間にはもちろんモンストで遊びます。
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 ■人物略歴
 ◇もりた・ひろき
 東京都出身。中央大学総合政策学部卒。ネットビレッジ(現・フォンファン)から転職し2008年ミクシィ入社。13年5月ゲーム事業本部長。同11月mixi事業本部長(現任)。14年6月に社長就任。38歳。