2014年

12月

02日

エコノミストリポート:過去最大の半導体投資でもサムスン電子の視界不良 2014年12月2日特大号

◇スマートフォンの不振だけでない


石田賢

(エムアイ総研代表、元日本サムスン顧問)


 急速な業績の悪化に直面する韓国サムスン電子が10月6日、ソウル近郊の平沢(ピョンテク)市に過去最大規模の15兆6000億ウォン(約1兆6000億円)を投じ、半導体の新工場を建設すると発表した。主力のスマートフォン(スマホ)事業が中国メーカーの追い上げによって販売不振に陥る中、堅調な半導体市場に打って出る。ただ、生産する半導体の種類など具体的な計画は明らかでなく、政治的な思惑などによって投資が決まった要素が強い。依然としてサムスン電子の先行きは視界不良だ。

 サムスン電子の苦境は、10月30日に発表した2014年7~9月期決算で一層、鮮明になった。売上高は47兆4500億ウォン(約4兆8700億円)と前年同期比19・7%減。また、営業利益も60・0%減の4兆600億ウォン(約4160億円)といずれも大幅に落ち込んだ。特に不振だったのがスマホを含む「IM(ITモバイル)部門」で、売上高は23・8%減の24兆5800億ウォン、営業利益は73・9%減の1兆7500億ウォン。小米科技(シャオミ)など中国の低価格スマホメーカーに急速にシェアを奪われているためだ。

 サムスン電子のスマホやタブレット型端末の販売不振は、IM部門だけでなく非メモリー半導体やディスプレーなど、社内で生産してきた関連事業を直撃している。スマホの“頭脳”と呼ばれる非メモリー半導体のアプリケーション・プロセッサー(AP)、スマホ画面に採用している省電力のアクティブ・マトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)パネルといった部品の生産は大幅に縮小され、これらの事業は赤字に転落しているとみられる。………