2014年

12月

23日

経営者:編集長インタビュー 山田隆司 JBCCホールディングス社長 2014年12月23日特大号

 ◇クラウド化対応でサービス充実


 中堅中小を中心に、これまで2万社以上の企業のIT(情報技術)インフラの構築や活用をサポートしてきた。今年が創立50周年。ホールディングス傘下に16の事業会社があり、ITのトータルサービスを提供している。

── ITシステムでクラウド化(ハードウエアやソフトウエアを自社所有しないで利用料を払う形態)が進んでいます。

山田 企業のITシステムについての考えは「所有から利用」に移りつつあります。ただ、販売や生産管理などの基幹業務については自社内に持つ「オンプレミス」がいいという考えが根強くあります。特に当社の顧客が多い中堅中小企業では、まだまだクラウド化は進んでいません。そのため、既存のシステムとクラウドを組み合わせて業務によって使い分ける「ハイブリッド型」を提案しています。

── JBCCの収益面ではどちらがよいのですか。

山田 オンプレミスはシステム導入時がメインの収入となります。クラウドは初期の収入は少ない半面、5年、6年たつとトータルでは収入が多くなるケースもあります。比べるのは難しいですが、クラウド化が徐々に進んでいく中で、営業の発想も切り替える必要はあると思っています。

 クラウドはインフラ整備だけでは利益を上げるのが難しく、独自サービスが必要です。当社は主に基幹業務のITサポートをしてきました。顧客によってはワンストップで全て任せていただいている。販売管理、生産管理を中心にオリジナルのソリューションがありますので、それをクラウド化しても同じことができるようにしていく。最終的にクラウドの比率が高くなっても、当社の売り上げは変わらないようにしたいと思っています。

── 顧客がITシステム会社に望むことに変化は?

山田 これまでは主に効率化や生産性を向上させるためにITが求められてきましたが、最近は顧客データの管理や分析など、より売り上げに直結する分野にITが活用されています。中堅中小の顧客が多いのでビッグデータまでは難しいですが、企業内のデータを分析・活用するビジネスインテリジェンスのツールをこれまで約7500本導入していただいています。


 ◇3Dプリンターの可能性


── 2014年9月中間期は、システム開発の不採算案件の改善で営業利益が伸びています。

山田 開発手法で「アジャイル型」という新しい手法を取り入れました。開発には顧客からの要求定義、設計、実装、単体テストなどの段階がありますが、アジャイル型は開発の途中段階でテストプログラムを作って、顧客とその情報を共有しながら開発ができます。これまでは開発後半のテストで初めて顧客に実際の仕様を確認してもらうので、変更が求められると大幅なやり直しが必要になります。それで工数が増えたり、不採算の要因となっていました。

 この手法は以前から検討はしていましたが、これまでツールが充実していなかったことに加え、新しい開発手法に当社も顧客も慣れておらず、まだ十分には普及していません。現在はウルグアイに本社があるソフトウエアパッケージメーカーのツールを利用しており、将来は技術的交流もしていければと考えています。

── 力を入れていく事業分野は。

山田 医療や介護、福祉分野で今後IT化が進んでいくと思っています。現在、病院向けには主にウェブ電子カルテを販売しています。政府は、地域で介護や医療サービスなどを一体的に提供する地域包括ケアシステムを推進していて、そのためにはカルテのデータがネットで見られる必要があります。さらに病院食や薬の在庫管理など、周辺分野でのIT化も進めています。この分野は成長分野なのでしっかり対応していくつもりです。

 また最近は3Dプリンターの医療分野への応用も進んでいます。例えば、手術前にCT(コンピューター断層撮影装置)で撮ったデータを基に臓器の模型を作成して、模擬手術をしたりします。

 医療分野にかかわらず、3Dプリンターはさまざまな分野で将来性があります。従来は試作品づくりに主に使われていましたが、現在は使える材質も広がり、最終製品を製作することも可能になろうとしています。

── 3Dプリンターは具体的にはどのような事業を。

山田 グループ企業でディストリビューション(流通)事業を担うイグアス(本社・川崎市)が、米スリーディー・システムズ社と提携して3Dプリンターを販売しています。

 また、現在検討を始めているのが、3Dデータのマーケット構築や加工サービスなどです。マーケットとは、音楽データ配信サービスのようなイメージです。3Dのデータマーケットでデータを購入して、自分のプリンターで出力する仕組みです。逆に、大型のものであればデータの出力を代行するサービスもありえます。3Dプリンターで出力された後に製品化するための2次加工も注目されています。3Dプリンターに付帯できるサービスをいろいろ開拓していきます。(Interviewer=横田恵美・本誌編集長、構成=小林多美子・編集部)


 ◇横顔


Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A 当時は営業職で、病院や開業医など医療向けの営業を7年間やりました。レセプトを発行する当社オリジナルのコンピューターがあり、その営業を担当していました。

Q 最近買ったもの

A 鉄道が趣味で、鉄道模型のキット(HOゲージ)をネットオークションで買いました。鉄道は乗るのも見るのも好きで、写真を撮ることも多いですね。

Q 休日の過ごし方

A 鉄道以外ではゴルフをします。

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 ■人物略歴

 ◇やまだ・たかし

 東京都出身。1979年東京理科大学工学部卒業後、日本ビジネスコンピューター(現JBCC)入社。2006年4月同社社長、JBCCホールディングス取締役就任。10年4月より現職。59歳。