2015年

1月

06日

経営者:編集長インタビュー 佐藤俊和 ジョルダン社長 2014年12月30日・2015年1月6日合併号

 ◇鉄道の経路案内をバスや徒歩に拡大

 鉄道やバス、飛行機の経路を調べる際に使う「乗り換え案内」。現在、ナビタイムジャパンやヤフー、駅探(えきたん)などさまざまな企業がサービスを提供しているが、その元祖がジョルダンだ。携帯電話やパソコンからの検索回数は月間2億回を超え、日常的に使っている利用者数は1000万人に達する。

── 従来型携帯電話(ガラケー)からスマートフォン(スマホ)への移行で苦しんでいます。
佐藤 スマホ時代になり、従来型携帯電話の利用者を中心に有料会員は、最盛期の約60万人から約40万人に減っています。しかし、無料も含めスマホからの利用者が増えてアクセス数が増えており、広告収入は増えています。

 また、法人向けでは、企業や自治体が出張や経費精算などのシステムとして使っており、こちらは安定的なビジネスになっています。「乗換案内」は利用者が多いサービスなので、この流れを維持しながら、利便性を考えた新しい「乗換案内」の形を作っています。
── 路線バスの経路検索にも対応しています。
佐藤 バスにはかなり力を入れています。487のバス会社に対応し、系統数は2万800を超えています。人口カバー率は8割以上になっています。
 米国では「Uber(ウーバー)」というタクシーを配車するスマホアプリがはやっていますが、日本のバスはGPS(全地球測位システム)搭載で現在地がわかるようになっています。すでに東京都の都営バスでは、バスの現在地が地図に表示され、あと何分で着くかがわかる有料サービスをスマホ向けに提供しています。いまテレビとインターネットの融合が進んでいますが、将来的にはテレビでバスがどこまで来ているかを見られるようにできないかと考えています。
── 近々開始する新サービスはありますか。
佐藤 2015年5月のサービス開始を目標に、「東京行き方案内」というスマホアプリの開発を進めています。現在提供しているアプリ「乗換案内」と連動させて、駅に着いた後に目的地に到着するまでの徒歩のルートを音声と文章で案内してくれるサービスです。たとえば、電話のように耳を当てたり、イヤホンで、「進行方向に50メートルほど歩くとセブン─イレブンがあり、その先を右折してください。右折後、三つ目の信号を左へ。左折後、10メートル先が目的地です」と案内されるイメージです。
 これまでは「駅(バス停)から駅(バス停)へ」の案内でしたが、今後は「ポイント(地点)からポイント(地点)へ」「場所から場所へ」の案内を強化していきます。

 ◇グーグルに負けない体制

 業績は頭打ちだ。14年9月期は売上高が前年同期比0・1%増の43億円、営業利益は同22・4%増の5・8億円だった。売上高の約54%が乗り換え案内のソフト関連だが、その売り上げは下がっている。12年11月に子会社化した旅行会社イーツアーの売上高が全体をカバーしている形だ。
── 旅行業者とのシナジー(相乗効果)は?
佐藤 全体の売上高の36%を占め取扱高は大きいです。ただ、メイン事業はあくまでも「乗換案内」で、経路の検索後に鉄道の特急券や航空券などを購入できるようにするビジョンも持っています。
 今は、航空会社や交通各社は直接自社でチケット販売をしていますが、それぞれのページでIDとパスワードを入れないといけません。ただ、当社のスマホアプリやホームページから、各社のサーバーにつながらせていただければ、ユーザーは経路を検索した後にチケットを購入できます。インターネット時代の新しい旅行業者というのはそういう形になると思っています。こうした夢を描きながら、各社に提案しています。
── グーグルも国内で乗り換え案内を提供しています。
佐藤 グーグルには我々がOEM(相手先ブランドによる受託生産)のような形でデータを提供しています。アップルもいずれは経路の領域にも入ってくると思います。
 ただ、我々は鉄道だけでなく、バスにも拡大しています。グーグルもアップルもそこまではできません。基本的にはどんな競合にもデータのOEM提供はしていきます。その一方で、日本市場では新しいユーザーを作るために、常に新しいことに挑戦していきます。
── ビッグデータをどう活用していますか。
佐藤 IT業界は、いつもはやりの言葉に向かって動きますが、いま当社がすべきことはコンテンツの拡充です。ビッグデータに近い企業なのは確かですが、それを活用するよりは増やすことに力を入れています。
── 乗り換え案内の外国語版も出しています。
佐藤 英語版はすでに出していますし、中国語版も韓国語版もできています。法人向けに営業をしていますが、無料で開放したいという気持ちもあります。収益化をどうするかが課題です。
 いずれにせよ、今後は移動に関することはすべて乗り換え案内から展開していくつもりです。(Interviewer=横田恵美・本誌編集長、構成=谷口健・編集部)

 ◇横顔

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか
A 30歳で起業しましたが、経営者というよりはプロジェクト全体を見るシステムエンジニア(SE)でした。一生懸命開発していました。
Q 最近買ったもの
A セイコーウオッチのGPS腕時計です。ボタンで位置を特定し、現在時刻を表示してくれます。
Q 休日の過ごし方
A 読書やジョギングです。本は、東野圭吾や湊かなえなどのべストセラー小説からビジネス書までなんでも読みます。
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 ■人物略歴
 ◇さとう・としかず
 福島県出身。1976年東京大学工学系大学院卒業。79年にソフトウエア開発企業「ジョルダン情報サービス(現・ジョルダン)」を設立。2003年大証ヘラクレス(現ジャスダック)に上場。65歳。