2015年

1月

20日

特集:どうなる株・投信2015 2015年1月20日特大号

 ◇年内2万円超えはあるか 好・悪材料入り交じる市場

谷口健
(編集部)

 2015年の株式市場は、波乱の幕開けとなった。1月6日、日経平均株価は前日比525円の大幅安。12月29日から4営業日連続の下げで935円の下落幅となった。1バレル=50ドルを割るほどの原油価格の急落や、1月25日に総選挙が行われるギリシャのユーロ圏離脱懸念、それらを受けた米国株安などが嫌気された。

 一方、15年の日本株を見通すと、多くの市場関係者が「年末には2万円を超える」と予想している。1万8261円を超えれば07年7月につけたリーマン・ショック前の高値を更新し、2万円到達なら00年3月以来となる水準だ。
「2万円超え」の理由は、まず、1ドル=120円水準の円安と、1バレル=50ドル前後の原油安など外部環境の好転による日本企業の業績改善だ。「この水準が15年度中続けば、企業業績は14年度比で15%程度の増益が期待できるだろう」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾主任研究員)。原油安が企業の材料調達費やエネルギーコストを軽減し、消費者の購買力を高め、業績に寄与すると想定されるためだ。
 マネックス証券の広木隆チーフストラテジストも、こうした企業業績の伸びを背景に、「14年度のEPS(1株当たり利益)は1200円程度で着地。15年度はかなり保守的に見ても1割増益の1320円」を見込み、12月の高値2万2000円を予想する。
 原油安は先進国を中心とする世界経済にとってもプラスと見られている。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は14年12月、「30%の原油価格下落が、日米欧中など多くの先進国の成長率を0・8%押し上げる」との分析結果を発表した。
 株式需給面では、「官製相場」の色彩を強めそうだ。14年10月末の日銀の異次元金融緩和第2弾による年間3兆円ペースのETF(指数連動上場投資信託)の買い入れが、間接的な日本株買いとなり下支えになる。さらに、約130兆円を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、14年10月に、ポートフォリオ(運用資産構成)の国内株運用比率を18・23%(14年9月実績)から「25%プラスマイナス9%」に引き上げた。
 三つの共済年金もGPIFの日本株運用強化の後を追い、GPIFと3共済で、おおよそ年間3兆円規模の日本株が買われる計算だ。つまり、日本株には「株高を援護射撃する年間約6兆円規模の“実弾”が控えている」(住友生命保険の岡田允彦ポートフォリオ・マネージャー)ということになる。
 日銀の黒田東彦総裁は、2%の物価安定目標達成に強い意欲を示しており、異次元金融緩和第3弾も辞さない構えを見せている。市場関係者の多くが、15年後半にも、13年4月、14年10月に続く3回目の「黒田バズーカ3」が炸裂(さくれつ)することを意識している。

 ◇両刃の剣の原油安と円安

 しかし、先行きには不透明感も漂う。原油安・円安・金融緩和というプラス材料が、同時に日本経済に対するマイナス材料になるリスクもあるからだ。
 原油安が長引けば、ロシアやブラジル、新興産油国など資源国の実体経済と金融への悪影響が予想される。資源国に投融資している先進国企業にも影響が出る。
 また原油安は、サウジアラビアが、石油時代が終わることへの強い危機感から、米国を世界一の産油国にする可能性を持つシェール革命をつぶしにかかかっているという見方も根強い。これにより、すでにシェール関連企業のデフォルト(債務不履行)懸念も出てきている。これは、金融不安の火種となりかねない。
 国際的な資金の流れも大きく変わりかねない。米連邦準備制度理事会(FRB)は、14年10月に6年間続けてきた量的緩和(QE)の終了を決め、15年央にも利上げすると予想される。ドル資金の新興国から米国への還流を促し、これに耐えられない国が出るとの懸念もくすぶる。欧州のデフレ化リスクも波乱要因だ。このため、「株式市場の基調は強いものの、1月6日のような日本株を大きく下げるショックが、15年は何度も起きるかもしれない」(今中能夫・楽天証券経済研究所アナリスト)。
 円安も必ずしも日本経済全体に追い風になるとはいえない。円安によって輸入物価が上がれば、それによる国内物価上昇が消費者の購買力低下に結びつく懸念が払拭(ふっしょく)できない。すでに、14年4月の消費税増税(5%→8%)後の反動とはいえ、国内総生産(GDP)は14年4~6月期、7~9月期と2期連続でマイナスとなっている。
「1~2月以降、食品、日用品の値上げラッシュが予想されるため、4月の賃上げが2~3%以上ないと購買力低下を補えない。『円安不況』というべき状況になるかもしれない」(今中氏)。
 その他の、いわゆる“イベント・リスク”も考えられる。6月が高値、9月が安値と予想するみずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは、年後半に「米国利上げに加え、日本郵政グループのIPOによる株式需給の悪化、集団的自衛権関連法案の成立に伴う安倍内閣の支持率低下」が株価の重しになると見ている。
 14年の日経平均株価は、13年末から14年末まで7・1%の値上がりだった。15年ははたしてどうなるのか。「未(ひつじ)辛抱」という相場格言通り「我慢の年」となるのだろうか。