2015年

2月

17日

経営者:編集長インタビュー 二宮雅也 損害保険ジャパン日本興亜社長 2015年2月17日特大号

 ◇目標は顧客評価日本一


 2014年9月に損保ジャパン日本興亜ホールディングス傘下の損保ジャパンと日本興亜損保が合併し、損保ジャパン日本興亜が誕生。単体の損保会社では日本最大になった。


── 収入保険料で東京海上日動を抜いてトップに立ちました。

二宮 合併時に三つのビジョンを公表しました。①規模だけでなくサービス品質で業界をリードする会社、②業界トップレベルの事業効率と収益性を維持する会社、③真のサービス産業に進化していく会社です。この三つのビジョンの実現を通じ、世界に伍(ご)して戦える保険会社になるのが目標です。名実ともに国内トップの保険会社となることは最も評価される損保会社になることと考え、「お客さま評価日本一」を最重要の経営戦略目標と位置づけています。

── 一方で、利益面ではライバルに差をつけられています。

二宮 今年度は合併費用を計上したため、特別損失発生が響きました。15年度を最終とする中期経営計画は着実に進んでおり、15年度はそれほど他社に劣後することはないと思います。16年度からの中計では、さらに収益力の向上を図る考えです。


 ◇自動車保険は安定化


── 自動車保険は、保険料の相次ぐ値上げで収支が改善しました。

二宮 自動車保険の等級制度の改定と保険料率引き上げの結果、収支がようやく安定してきました。自動車保険が赤字体質だった主な理由は、自動車のIT化やシステム化が進んだことで、修理費が上昇したためです。もちろん、高齢化の影響で高齢者の事故が増えたことも要因です。

── 事故を起こすと高額な保険料を負担しなければならない「事故あり等級制度」の新設も、収支改善につながりました。

二宮 事故を起こす人と起こさない人との公平性に配慮した制度です。等級制度の仕組みの問題を是正しました。小さな事故を起こした場合、保険料負担拡大を避けるため、修理費の自己負担を選択する人もいらっしゃいます。ただ、事故率が高い人の保険も引き受ける仕組みを維持するには導入は不可欠でした。

── 自動車保険で他に課題は?

二宮 自動運転車が普及した場合に保険をどうするのかは世界的な課題です。どういう原因でどのような事故が起きるのか、現時点では想定できません。人間の操作の問題か、自動運転のシステムの問題か、責任の所在を整理する必要があり、業界団体と国が協力して研究中です。

 また、車内にカメラを設置して事故映像などを記録する車載器(ドライブレコーダー)の普及も、保険のあり方を変える可能性があります。急ハンドルや急発進などの運転を感知してデータの蓄積が進めば、運転が丁寧か乱暴かを分析できるようになります。両者が同じ保険料率でいいのかという議論も出てくるのではないでしょうか。

── 火災保険での課題は。

二宮 近年、大雪や巨大台風など従来は考えられなかったような自然災害が増えています。これまで自動車事故の防止に力を入れる一方、自然災害への防災・減災の取り組みは遅れていました。例えば台風が近づいた時、事前に備えについて注意喚起したり、台風直後にお客様に状況確認をするなどお客様との接点を深めていこうと思っています。

── 海外事業の方針は。

二宮 14年、英中堅保険会社キャノピアスを約1000億円で買収しました。同社は、専門的な職業の賠償保険など一般の保険会社が手がけない部分のノウハウがあるのが特徴です。成熟市場の欧米でリスク分散や安定的な収益確保を狙います。

 一方、成長獲得のために注力するのは新興国です。ブラジル、トルコ、マレーシアなどでは業界トップ10に位置しており、業界5位以内を目標にしています。昨年、中国で自動車の自賠責保険を扱えるようになりました。まずは日系企業から引き受けを始めています。

── 金融市場が不安定化しています。運用方針は。

二宮 円貨建て債券が基本ですが、内外金利差を考えると、ある程度リスクをとりながら外債、ヘッジ付き外債での運用もする方針です。日本国債の長期金利は低く、どうしても外債を考えざるを得ない。一般勘定の資産内訳は国内株式3割、国債など円金利資産3割、外国証券が3割という配分です。(顧客企業などの)政策株式の割合は圧縮していく方向です。

── 今後の注力分野は。

二宮 全国を16地区本部に分け、地域ごとのニーズを汲み取った保険を開発する取り組みを始めています。お客様に一番近い接点である現場にしかわからないことがあると考えたからです。例えば畜産が盛んな県で、ABL(動産・債権担保融資)関連の保険を開発・販売しました。これは畜産農家などが保有する動産(在庫)関連のリスクを補償する保険であり、地銀との連携で生まれました。

 これまでは中央集権的で、本社が各地域の年間予算、販売戦略、人員配置などを決めていました。新会社スタートと同時に、それらを現場の判断でできるようにしました。地域を知る人が考え地域で評価されれば、結果的にお客様が増えて事業拡大につながると考えます。

(Interviewer=横田恵美・本誌編集長、構成=秋本裕子・編集部)


 ◇横顔


Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A 1985年、33歳でブリュッセル(ベルギー)に赴任しました。当時、欧州へ進出する日本企業が増えていました。87年にパリ(フランス)に移って、ミラノ(イタリア)やマドリード(スペイン)に事務所を作り、90年に帰国しました。

Q 最近買ったもの

A 医師の勧めで血圧計を買いました。週2~3回測っています。

Q 休日の過ごし方

A 土日のうち1日は、家内と散歩がてらレストランで一緒に食事をすることにしています。

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 ■人物略歴

 ◇ふたみや・まさや

 兵庫県出身。1974年中央大学法学部卒業後、旧・日本火災海上保険入社。秘書室長、常務執行役員、専務執行役員などを経て、2011年から日本興亜損害保険社長。14年9月、損保ジャパン日本興亜発足に伴い、同社社長に就任。62歳。