2015年

3月

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エコノミストリポート:問題多いコンセッション方式 2015年3月3日特大号

 ◇大阪市が進める水道民営化 海外で相次ぐ失敗例に学べ

椿本祐弘
(フリーライター、元大和総研主席研究員)

 民間資金を活用して公共施設などを整備するPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)法が2011年6月に改正され、施設の所有権を公共機関に残したまま、運営を民間会社にまかせる「公共施設等運営権制度(コンセッション)」が導入された。14年5月には、安倍晋三首相が、「運営権方式のPFIを劇的に拡大していきたい」と述べ、その数値目標として、空港6件、下水道6件、水道6件などが掲げられた。

 特に水道事業については、大阪市が14年11月に「大阪市実施プラン案」を発表した。同プランは、市が浄水施設や水道管などを保有したまま、運営権を市が全額出資する新会社に譲渡するいわゆる「上下分離方式」を採用している。今年2~3月に実施方針を定めた条例案を市議会に提出し、早ければ16年4月から実施する計画だ。
 大阪市の水道事業の経常収益は、13年度は約650億円だが、近年は一貫して減少傾向にあり、1998年度以降の15年間で24%の落ち込みとなっている。今後もさらなる減収が見込まれる一方で、経年劣化が進む施設の改修費用は急増が予測される。民営化の背景には、このような厳しい将来事情に対処するため、民間のコスト感覚、経営感覚を導入したい狙いがある。同市はこの計画によってコスト縮減を図り、将来的な水道料金値上げを回避することを目指す、としている。………