2015年

3月

03日

特集:とことん分かる低金利 2015年3月3日特大号

 ◇前代未聞の世界的低金利 バブルの芽育てる恐れ


中川美帆/大堀達也

(編集部)


 長期金利が世界的に低下している。デフレ回避に向け、3月から量的緩和を開始するユーロ圏では特に低下の勢いが激しい。ドイツやフランスは過去最低水準になった。欧州では、スイスなどマイナス金利に陥る国が増えている。年明け以降に利下げした国は世界で15カ国以上にのぼり、世界の債券市場は、前代未聞の異常な事態になっている。

 日本の債券市場では1月20日、長期金利の指標となる10年物国債の利回りが過去最低を更新して、一時、史上初の0・1%台に突入した。低下の最大の理由は、日本銀行が大量に国債を買い入れていること。加えて「世界的なカネ余り」のなか、少しでも高い利回りを求めるマネーが、欧州など海外からも流入。金利低下に拍車をかけている。2月に入り、上げ下げが激しくなっているが、原油安などで物価上昇率が低下していることもあり、今後も未曽有の低レベルが続く可能性は高い。


 ◇機関投資家は運用難


 超低金利はさまざまな弊害を引き起こしている。その一つが機関投資家の運用難だ。預かった保険料を長期間運用して、保険金などを支払う生命保険会社は、超低金利で国債に投資し続けると、運用利回りを確保するのが難しい。逆ザヤになる危険もあるため、貯蓄性保険を中心に、商品の販売停止が相次いでいる。

 生保各社は、国債に替わる投資先を開拓しようと、外債投資を拡大するなど、経営や販売戦略の見直しに迫られている。

 地方銀行や信用金庫のなかには、抑えていた不動産投資信託(REIT)や株式への投資を増やすところもある。国債の運用で安定した収入を得られなくなっているためだ。これは、「バブルの芽を膨らませかねない危険な動きだ」と見る市場関係者もいる。

 一方で、利益が得られない日本国債に見切りをつける動きも出ている。英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)傘下のアール・ビー・エス証券は、国債市場特別参加者資格を返上したと財務省が1月に公表。日本の国債取引からの撤退となる。

 将来は、日銀が「出口戦略」で国債の購入を減らしていくことになる。しかし、現在のように国債市場の機能がまひした状態では、ちょっとした売り買いの変化によって、長期金利は暴騰しかねない。そうなれば、日本経済を大混乱に陥れる恐れがある。