2015年

3月

17日

特集:キーワードで知る経済リスク 通貨安競争 2015年3月17日号

◇金融緩和頼みが招く落とし穴 急激なドル独歩高で米国成長も停止

斎藤満
(グローバル・エコノミスト)

 ◇何が起きるか(1)

 トルコで1月に開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、米国のジャック・ルー財務長官と、欧州その他との間で通貨を巡る紛争が勃発した。『フィナンシャル・タイムズ』紙によれば、これまで「ドル高は常に米国の国益」と言ってきた財務長官の口から、欧州などが成長支援策をとらなければ、ドル高は容認できなくなるとの発言が飛び出したという。長官はその後インドを訪問したが、そこではさらにボルテージを上げて「不当に通貨安を狙う国には、米国は強く抵抗する」と宣戦布告した。

 これには伏線がある。今や世界経済は米国の単発エンジンで進んでいる。ユーロ圏も日本も「リセッション」を抜け出したものの、その後も反発力は弱い。リーマン危機後の世界を救った中国にはいよいよエンジンブレーキがかかり、今年は昨年以上に低成長を余儀なくされる。
 原油価格の下落で、産油国、資源国も軒並み経済の収縮を余儀なくされ、一部には債務返済の不履行(デフォルト)懸念も台頭した。成長エンジンが米国だけとなれば、そしてその米国が年央にも利上げに出る、となれば世界の余剰マネーはこぞって米国に流入する。ここにドル高、その他通貨安が生じることになる。………