2015年

3月

17日

特集:キーワードで知る経済リスク 2015年3月17日号

 ◇世界同時株高に潜む、乱高下相場の危うさ


濱條元保

(編集部)


 年初から堅調に推移していた日経平均株価が、上げ足を強めたのは2月中旬から。公的年金の株式比率引き上げや日銀の上場投資信託購入という公的需要に加えて、外国人投資家による強力な日本株買いが再開したためだ。日経平均株価は3月2日、1万8826円と2000年4月以来となる高値を更新し、1万9000円台が射程圏内に入った。

 米ダウ工業株30種平均も同日、1万8288ドルと2月下旬につけた過去最高値を更新。独DAXや英FT100といった欧州の主要株価指数も15年ぶりの過去最高値圏で推移している。インドや香港などの株価も上昇しており、世界同時株高の様相だ。

 背景にあるのは、世界的な金融緩和による過剰マネーの存在だ。

 昨年10月末、日銀が長期国債を年間30兆円買い増すなどの追加緩和策を打ち出すと、欧州中央銀行(ECB)は1月、量的緩和の導入を決定。すると、自国通貨高回避に向けてスイスは昨年12月に適用したマイナス金利幅を拡大した。加えて、原油安による景気への悪影響を警戒したカナダに続き、インフレ上昇懸念がなくなったインドが3月4日、今年2度目の利上げを決定。さらに中国までもが昨年11月に続き2月末に利下げに踏み切るなど、世界的な金融緩和の連鎖が起きている。

 強力な金融緩和によってスイスやドイツなどでは国債がマイナス金利となり、低金利の流れは日米はじめ各国に広がる。そこで「運用難に陥った年金やヘッジファンドがやむなく投資先として、世界の株式市場を物色した結果が足元の株高」(生損保系ファンドマネジャー)である。


 ◇荒い値動き


 今回の株高局面の特徴の一つは、値動きの荒さだ。

 1月から2月までの38営業日で、日経平均が前日終値比200円以上乱高下したのは12回。実に3営業日に1度のペースだ。ダウ平均も同期間に同200ドル以上乱高下したのは9回あった。

 典型的なのは、1月6日の日経平均。原油安と欧州危機再燃への警戒から、5日の欧米株急落の流れを受けて、前日比525円安の1万6883円まで急落した。リスクオフの流れから株が売られて、円や国債を買う動きが強まり、前日より1円以上円が値上がりし、1ドル=118円台まで上昇する局面があった。

 乱高下を繰り返しながらも株価は上がっている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテジストは、「15年を通じて外国人投資家の買い余力は5兆~10兆円に達する」とし、「15年前半に日経平均株価は、2万1000円まで上昇する可能性がある」と予想する。

 しかし、外国人投資家による日本株買いは、「カネ余りを背景に、欧米株がすでに買われ過ぎているための消去法的な投資」(銀行アナリスト)という側面は見逃せない。つまり、大幅に値上がりする局面がある一方で、何かのショックで大きく下落するもろさがある。

 市場動向に詳しい豊島逸夫氏は、日本株を下落させるショックとして急激な円高を挙げる。

「足元の1ドル=120円前後の円安は、米国の6月利上げを相当に織り込んだ水準。ギリシャ危機再燃や地政学リスクの高まりなどで、利上げが9月に遅れたり、年内の利上げが難しいとなれば、一気に110円や105円といった急激な円高もある。その時、日本株は急落するだろう」

 低金利、低インフレ下で、溢れかえる世界のマネーがリターンを求めて右往左往する状況が続く限り、日本を含め金融市場の乱高下は不可避のようだ。