2015年

4月

07日

ワシントンDC 2015年4月7日特大号

 ◇迷走する共和党の議会戦略 大統領選に影響する懸念も


堂ノ脇伸

(米国住友商事会社ワシントン事務所長)


2014年11月の中間選挙で連邦議会上下両院の過半数を制し、1月から始まった第114議会に意気揚々と臨んだ議会共和党であるが、その戦略が振るわずに迷走を続けている。オバマ政権と対峙するさまざまな政策で主導権を握れず、むしろ失点を重ねることで相対的にオバマ大統領の人気回復に一役買っているかのようである。

 まず14年の第113議会で一旦否決されたキーストーンXLパイプラインの建設認可法案について、早々に上下両院で可決をし、これを大統領府に回した。だが、かねてより「所管機関である国務省による審査が必要」との態度を示していたオバマ大統領に、就任以来3回目となる拒否権を発動され、更にはこれを覆すだけの3分の2以上の票を集めることができずに廃案とされている。

 次に、オバマ政権の移民受け入れ政策への反発として、国土安全保障省に設けられた暫定予算の期限切れの回避を巡る歳出法案でも迷走が見られた。

 15年度の連邦歳出予算の中で、移民行政を担う同省のみが共和党の圧力で、通年ではなく2月27日までの暫定予算を余儀なくされていた。さらに共和党は、同省の残りの期間の歳出法案の中に、大統領が行政権限で行う移民制度改革を遂行するための歳出を全て削る付帯条項を盛り込んだ。これに民主党側は猛反発。同法案は下院では可決されたものの、上院では採択に持ち込む前提となる議事妨害(フィリバスター)の打ち切り動議に必要な60票を得られず、期限直前までの攻防が続いた。

 結局、最終的には共和党が折れる形で上述の付帯条項が全て削除された「クリーンビル」として可決することとなったが、この妥協に至る過程で共和党内での保守派と穏健派の対立や、法案可決に向けた共和党指導部としての展望の甘さが露呈する形となった。


 ◇党内からも疑問視


 一方、イラン核協議を巡っても、議会共和党がホワイトハウスの頭越しにイスラエルのネタニヤフ首相を議会に招請したことで民主党議員の反発を招き、結果的に対イラン追加制裁法の可決の可能性を遠ざけてしまったことは3月3日号の本欄でも紹介した通りである。

 更にその上、47人の共和党上院議員が3月9日にイランの指導部に対し、核協議合意への懸念を記した書簡を送付するという行動に出た。

 書簡の内容は「仮に今回米国と核開発問題を巡る合意に達したとしても、次期米大統領によって合意は破棄される可能性がある。オバマ大統領の任期は17年1月で終わるが我々の多くはその後も議員であり続ける」というもので、ホワイトハウスは「大統領の外交交渉遂行と米国の安全保障上の利益を損なう党派的な行為である」として、強く非難している。

 ケリー米国務長官も11日、「議会に国家間や首脳間の合意を修正する権利はなく、米国のほかに英仏独露中5カ国が署名し、支持する合意が撤回されることはない」と述べ、不快感を示した。核協議の枠組み合意の期限は3月末で、本号発行時点でその結果は明らかになっているであろうが、議会が行政府と異なる見解を外交交渉の相手国に対して直接示したのは米国史上初めてであり、一部の共和党議員もその手法を疑問視して書簡への署名を拒否している。

 オバマ大統領との対決色を強め、さまざまな手段でその政策遂行を妨げようとする議会共和党であるが、昨今の戦略とその成果には疑問符がつく事例が多く、来年にせまった大統領選への影響も懸念され始めている。