2015年

4月

07日

特集:高値からの投資術 2015年4月7日特大号

 ◇公的マネー主導の歴史的相場 高値警戒しつつ臨む投資 


中川美帆/大堀達也

(編集部)


 「これから株を買っても大丈夫ですか?」

 東京都文京区で3月14日開催された「投資戦略フェアEXPO2015」で、講演を終えた講師に追いすがって質問攻めにする年配の女性。会場は個人投資家の熱気であふれ、昨年より3割増の4600人余りが参加。例年より若者の姿が目立った。

 日経平均株価は3月23日に一時1万9778円をつけ、約15年ぶりの高値水準となった。2012年末から始まったアベノミクス相場は、ついに2万円の大台をうかがう。この間の日米欧の量的緩和は、日本株だけでなく、米国株や欧州株も押し上げた。歴史的な相場を前に、これまで横目に見ていた個人投資家の株式への関心も高まっている。


 ◇5頭のクジラ


 今回の日本株の株高を支える最大の柱は、運用資金の巨額さから「クジラ」と称される公的マネーだ。①厚生年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、②国家公務員共済組合連合会(KKR)、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団の3共済(合わせて1頭)、③かんぽ生命保険、④ゆうちょ銀行、⑤日本銀行──の5頭は、GPIFを中心に昨秋から買いを加速させ、上昇相場をけん引。市場ではなお総計20兆円超の買い余力があるとささやかれる。

 約130兆円を運用するGPIFは昨年、日本株の比率を12%から25%にする方針を表明。3共済も日本株の比率を25%に高める。大手証券の推計によると、GPIFの運用資産に占める日本株の比率は昨年末時点で約20%。残り約5%(約7兆円)の買い余力があることになる。

 GPIFの運用銘柄は公表されていないが、中長期の保有を前提とするため、指標を構成する銘柄が中心とみられている。このあおりを受けているのが、東証マザーズだ。急騰する日経平均と異なり、上昇相場の蚊帳の外に置かれている。

「GPIFの日本株購入は3月末までに23%に達する」(証券会社)との見方もあり、今後の購入ペースは落ちる見通し。だが、日銀は上場投資信託(ETF)の購入を年約3兆円に増やしており、かんぽ生命、ゆうちょ銀行も日本株の比率を高める模様。このため、高値を更新した大型株はさらに購入される可能性がある。

 株高を支えるもう1本の柱は、海外マネーだ。日本株の売買代金の6~7割を占める海外投資家の動きは、相場を大きく左右する。早くから日本株に投資してきた年金ファンドに続き、最近の上昇相場に乗り遅れまいと、米系のファンドが投資姿勢を強める。日本の企業が株主資本利益率(ROE)向上に向けた改革や、増配などの株主還元を強化したことも、日本株に対する海外マネーの呼び水になった。

 この2本柱を企業の業績改善が後押ししている。5月連休前後の15年3月期決算発表では、円安や原油安の恩恵を受けた企業の業績改善が相次ぐ見通しだ。

 日本株は長期的な上昇サイクルに入ったとの見方が市場で優勢になる一方で、警戒感も広がる。「官製相場」のうえ、業績改善は中小企業への広がりがなく、景気底上げに裏打ちされた株高とは言い難いためだ。

 外的要因によるトレンド転換にも注意が必要だ。米国の利上げを巡る思惑で世界の株式市場が連日、荒い値動きをしている。米景気回復が思わしくないとの見方もある。先行き不安を受け25日の米株式相場は大幅下落。日経平均も翌26日、3月決算企業の配当・株主優待の権利を得るための最終売買日にもかかわらず、一時、300円以上値を下げた。

 毎日の株価変動率が高く、さまざまな火種を抱える歴史的相場の投資はどうすればいいのか。テクニカルな手法を駆使した売買時期の見極め方や銘柄選びのコツを紹介する。