2015年

4月

07日

FLASH!:黒田日銀が2年 2015年4月7日特大号

 ◇物価はマイナスの危機 量的緩和と「期待」の限界


小玉祐一

(明治安田生命チーフエコノミスト)


 日銀が黒田東彦総裁のもとで量的・質的緩和政策を打ち出してから、今年4月4日で丸2年を迎える。量的・質的緩和とは、2年程度で2%という物価目標を実現するため、長期国債を中心に、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J─REIT)など、幅広い資産を市場から大量に買い入れるというものだ。マネタリーベース(資金供給残高)を年間約60兆~70兆円増やすという(2014年10月には80兆円に増額)、まさに「バズーカ」と言える規模で、海外投資家の一部からは、「アベノミクスではなく実態はクロダノミクス」などと高く評価されてきた。しかし、足元では徐々に限界が見えつつある。

 確かに、株高・円安の演出という点では2年間で大きな成果を上げたが、一方で景気・物価への押し上げ効果が弱いことも明らかになってきた。第2次安倍政権下での四半期ごとの前期比実質成長率の平均(概算)は0・7%で、第1次安倍政権を含む過去10代の政権で見れば8番目にすぎない。多くの人は消費税増税を低成長の理由に挙げるだろうが、景気はその前から悪化に向かっていたのが実態だ。しかも、消費者物価指数(生鮮食品、消費増税の影響を除く)上昇率は1月で前年比0・2%と、「2年で2%」どころか、マイナスに逆戻りの危機に瀕(ひん)している。

 今後は、物価目標の達成時期の変更の有無が焦点となろう。期限を区切った厳格なインフレ目標には、いざ達成が難しくなった時に、説明が一気に苦しくなるという難点がある。黒田総裁は、1月の総裁定例会見で、達成時期が16年度にずれ込む可能性を認めたが、3月の定例会見では、「3年以上を、2年程度(に含める)というのは非常に分かりにくく、はっきり言って日本語ではない」という手厳しい指摘を浴びた。目標達成時期の変更を明言しないまま、なし崩し的に後ずれさせる手法は限界に近づいている。………