2015年

4月

28日

経営者:編集長インタビュー カリン・ドラガン コカ・コーライーストジャパン社長 2015年4月28日号

 ◇コカ・コーラのボトラー5社を統合し誕生


 日本のコカ・コーラシステムは、原液の供給や商品企画などを行う日本コカ・コーラと、製品の製造・販売をするボトラー各社などで構成。コカ・コーライーストジャパンは、2013年7月に関東・東海地域(1都12県)のボトラー4社が経営統合して誕生し、今年4月1日に新たに仙台コカ・コーラボトリングを事業統合した。1都15県を販売エリアにする日本最大のボトラーである。

── 統合の目的は。

ドラガン 日本は世界3位の経済大国であり、飲料業界の競争は熾烈(しれつ)です。その中で単に大きな企業ではなく、より強い企業を目指そうと考え、13年7月にボトラー各社を統合して誕生しました。13年の発足以来、5四半期連続で数量・金額シェアが伸びており、当社の戦略は正しかったことを示しています。

── 経営環境をどう見ますか。

ドラガン 先進国で飲料業界の成長スピードが最も速いのが日本市場です。だから日本市場は決して悪くはない。ただ、最近はさまざまな課題にも直面しています。

 日本の飲料市場は歴史的に自動販売機チャネルでの販売量が他国に比べて多く、最近はコンビニ、ドラッグストア、量販店が台頭しています。その一方、競合が多様化して競争環境が熾烈になり、それが販売価格に影響する構図になっています。


 ◇日本発10億ドルブランド続々


── 日本でのコカ・コーラの存在感をどう評価しますか。

ドラガン 良い立ち位置を確保できていると思います。特にブランド力と品ぞろえには自信を持っています。

 商品ブランドの中で、全世界での累計売上高が10億ドルを超える「10億ドルブランド」が次々と日本で誕生しています。例えば「アクエリアス」は日本生まれの10億ドルブランドで、今ではスペインなど世界各国で販売されています。緑茶の「綾鷹」、「爽健美茶」、ミネラルウオーター「い・ろ・は・す」もそうです。また、コカ・コーラが飲料業界のトッププレーヤーであるのは、コーヒーの「ジョージア」のお陰です。世界で10億ドルブランドとして知られる「コカ・コーラ」「ファンタ」「スプライト」などに加え、これだけ10億ドルブランドがあることで、いかに強いブランド力と品ぞろえがあるかがわかるでしょう。

 もちろん新ブランドも投入しています。例えば14年に「からだすこやか茶W」を発売し、今年は「つむぎ」を販売しました。つむぎは国産茶葉を使用した烏龍茶です。

── 販売チャネルへの考えは。

ドラガン 十分に体制を整えています。日本には約400万台の自販機があり、そのうち約250万台が飲料の自販機です。その250万台のうち約100万台はコカ・コーラの自販機です。そして、そのうち約50万台はコカ・コーライーストジャパンの事業エリアに設置されています。

 自販機チャネルについては、屋外・屋内の両方で展開していますが、今後は採算性が高く、将来成長が期待できる屋内(インドア)自販機に注力していきます。

── コンビニやスーパーなどの販売チャネルは。

ドラガン コンビニ、ドラッグストア、量販店などは日本特有のものではなく、オぺレーションは他国とさほど変わりません。コカ・コーラは海外市場で各チャネルにおける他社との競争に打ち勝ってきており、戦い方を熟知しています。日本でも良い結果を出せると確信しています。

 日本のコカ・コーラのボトラーはもともと17社あり、各チャネルへのアプローチが細分化されていました。コカ・コーラ全体の意見を集約し、戦略を一本化する必要があると、07年には大手流通チェーンやフードサービスチェーンに対する商談窓口となる会社、コカ・コーラカスタマーマーケティング(CCCMC)を日本コカ・コーラと全ボトラーの共同出資で設立しました。

── 統合の最大のメリットは何でしょう。

ドラガン ボトラーの規模が小さい頃は各社の投資力は弱いものでした。当社を設立後、すぐに製造設備ライン10本の新規投資を決めました。そのうち5本は昨年導入し、今年中に4本の導入を予定しています。新ラインの約半分は、世界最大規模で最速のものです。

── コカ・コーラはグローバルに展開しています。

ドラガン 昨夏から全従業員が勤務時間中に英語レッスンを受けられるようにしました。目的は、海外とやり取りができる人材を育てること。コカ・コーラグループは世界200カ国以上の国・地域で事業展開しています。将来的に世界各地のコカ・コーラで活躍できる人材、世界で認められるような人材を育てたいと考えています。

── 今後の目標は。

ドラガン 業績目標として、営業利益率を毎年1%ずつ改善していく目標を掲げています。それを続ければ、18年には世界クラスのボトラー水準(営業利益率6~8%台)に到達できます。

 コカ・コーラは20年に開催される東京五輪のワールドワイドパートナーであり、当社はホストボトラーになるのですが、個人的な目標として、その頃までに当社を世界クラスのボトラーに育てたいですね。

(Interviewer 金山隆一・本誌編集長、構成=秋本裕子・編集部)


 ◇横顔


Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A 主にイタリア担当でプロジェクトごとに欧州を移動し、大企業トップのリーダーシップを学びました。

 大学卒業時は共産主義体制の崩壊直後で職がなく、暫定的にコカ・コーラの倉庫で在庫管理の仕事に就きました。その後、営業部門に移り、05年からはグループのルーマニア・モルドバ担当のトップを務めました。

Q 最近買ったもの

A 家庭用のプリンターです。

Q 休日の過ごし方

A 故郷で夏はビーチで休むのが定番ですが、家族はルーマニアにおり、それができないのが残念です。

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 ■人物略歴

 ◇かりん・どらがん

 1992年ティミショアラ工科大学(ルーマニア)卒業、93年コカ・コーラレバンティス(同)入社。2011年コカ・コーラウエスト専務執行役員、12年同社副社長、13年三国コカ・コーラボトリング社長などを経て、13年7月から現職。48歳。