2015年

5月

26日

シャープ中計:経営再建へ最後の延長戦 2015年5月26日特大号

 ◇液晶事業維持という賭け

 

後藤逸郎

(編集部)

 

「液晶事業を外部に切り出せば、中計は成り立たない」。シャープの高橋興三社長は東京本社で開いた記者会見で、語気を強めた。

 シャープの中計の骨子は、事業環境の変動に耐えられる財務基盤強化と事業部門を五つのカンパニーに再編する企業統治体制の見直しだ。

 液晶事業の亀山・三重工場(いずれも三重県)、電子デバイスの福山・三原工場(同広島県)、太陽電池事業の堺工場(大阪府)などの減損処理や国内3500人の人員削減を予定するが、「工場閉鎖は現時点で考えていない」(高橋社長)。カナダ、オセアニアのテレビ事業撤退こそ決めたが、南北アメリカのテレビ事業は提携先が未定だ。大阪本社の売却を打ち出すが、こちらも具体案はない。

 ◇アベノミクス銘柄

 

 2月に業績の下方修正を公表して以来、テレビ、液晶の売却や太陽電池工場の閉鎖などの報道の嵐が吹き荒れたものの、中計には反映されなかった。「すべて誤報だった」と苦々し気な中堅幹部。主力行とメガ3行系投資ファンド「ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ」が2250億円の金融支援を行うが、主力行の負担分は債務の株式化ではなく、優先株の発行によるものだ。

 シャープの2015年3月期連結決算は2223億円の最終赤字まで拡大し、自己資本比率は1・5%に低下した。資本金1218億円を5億円に減資し、優先株発行で財務を改善する。カンパニー制の再編に伴う事業の選択と集中は見送られた。今期は800億円の営業利益を見込むが、構造改革を継続することから、最終利益予想は出していない。

 高橋社長は「外部環境の変化に弱かった体制は反省している。経験を生かし、中計推進が私の経営責任」と、続投を宣言した。他に4人いる代表取締役副社長・専務は代表権を返上するものの、うち2人は取締役会長、副社長執行役員として経営に参画し、残る2人も顧問に残る。………