2015年

5月

26日

微税強化!:富裕層の資産把握に強力な「目」 2015年5月26日特大号

 ◇「財産債務調書」制度を導入

 

遠藤純一

(税理士法人タクトコンサルティング情報企画室課長)

 

 2016年から富裕層は、「財産債務調書」という法律で定められた新たな調書(法定調書)を、毎年3月15日までに税務署に出すことが求められる。これは、もともとあった「財産債務明細書」の提出制度を、15年度税制改正で改造したものだ。海外に5000万円超の資産を持つ人を対象に昨年から提出が義務付けられた「国外財産調書」に続き、富裕層の資産を把握するための国税当局の強力な「目」となる法定調書の出現である。

「財産債務調書」の提出基準は年間所得が2000万円超で、その年の12月末時点で保有資産が3億円以上、または株式など有価証券の合計額が1億円以上であること。調書には、住所、氏名、16年から使用が始まるマイナンバーのほか、財産・債務の種類や数量、その価額、不動産など財産の所在、有価証券の銘柄などを細かく記載する。財産の価額は原則として時価だが、時価評価の難しい非上場株式などは所定の計算方法に沿って「見積価額」を記載。また、有価証券は取得時の価額も記載する必要がある。

 

 ◇懲役刑など罰則も

 

 そもそも法定調書とは、各種税法で税務署に提出が義務づけられている書類(資料)のことである。現在59種類があり、例えば株式の配当を支払った場合はその株式会社が、生命保険金を支払った場合は生命保険会社が提出する。法定調書をもってただちに課税されることはないものの、虚偽記載や故意の不提出には懲役刑などの罰則や過少申告加算税の上乗せなどのペナルティーが科されることになる。国税当局はこうして毎年、膨大な資料情報を収集し、所得税や相続税などで申告漏れがないか注視しているのだ。………