2015年

5月

26日

特集:微税強化!:マイナンバーにかけた財務省の執念 2015年5月26日特大号

 ◇その戦略的沈黙主義の裏面史

 

倉重篤郎

(毎日新聞専門編集委員)

 

 あのグリーンカード(少額貯蓄等利用者=納番)制度廃止のトラウマを背負ったマイナンバー──。導入を可能にした政治的文脈は何か。いかに当局の悲願は達成されたのか

 それをたどると、いったんは死んだふりをするものの、じっと機会をうかがいながら、政権交代という大政局を2度にわたり活用して、三十余年越しで組織の意志を貫徹した財務省・国税当局のしたたかさが浮かび上がる。

 

 ◇軍師・金丸信の反撃

 

 まずは、グリーンカード導入・廃止の政治力学とはどういうものだったのか。

 当時、主税局で政界工作を担った内海孚氏(元財務官)が時事通信社の『金融財政ビジネス』(2012年9月6日号)に、こんな証言をしている。

 それによると、1977年同氏が国税庁長官官房企画課長の時に、制度導入に伴う組織、予算の検討を開始した。グリーンカードは、付加価値税(消費税)導入を念頭に不公平税制是正のシンボルとして、利子配当分離課税を総合課税化するツールだった。その際に野党第1党の社会党対策として、重鎮で財務省シンパの堀昌雄氏(元社会党衆院)から「納税目的以外に使わせないとしっかり管理するなら反対しない」との言質を取っていた。

 79年内海氏は本省主税局税制一課長となり、政府税調に「納税者番号が適当」との答申を出してもらい、自民党税調の実力者、山中貞則会長のOKを取ることにも成功する。グリーンカードという名称は、税制に一家言ある野末陳平参院大蔵委員の助言だった。組織を挙げての政界、メディア対策が奏功し、制度を盛り込んだ所得税法改正案は翌80年3月に共産党以外の政党の賛成で一気に成立した。………

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編集:エコノミスト編集部

発売日:2015年10月17日

配信日:2015年10月17日

ISBN:978-4-620-32343-5

定価:本体800円(税別)

判型:新書サイズ

頁数:144頁

 

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