2015年

6月

02日

エコノミストリポート:シャドーバンクと異なる資産運用業 2015年6月2日号

 ◇資金供給機能の高まりとリスク


大浦博子

(国際通貨基金金融資本市場局シニアエコノミスト)


 資産運用業(アセットマネジメント)は実に多様性に満ちた業界である。広義には保険や年金業も含まれることもある。本稿では狭義の資産運用業に焦点を当てるが、それでも日本で言う投資信託(海外ではミューチュアルファンドと呼ばれる)から、上場投資信託(ETF)、プライベートエクイティ、ヘッジファンドまでさまざまな商品が提供されている。世界規模では2013年末時点で実に79兆㌦がアセットマネジメント会社によって仲介されており、その多くが一般投資家を対象とした公募ファンド(ミューチュアルファンド、マネー・マーケット・ファンド〈MMF〉、ETFなど)か、機関投資家を対象にした投資顧問サービスを通じたものである。

 国別ではアメリカと欧州を拠点にするファンドが投資信託資産の8割を占め、また近年ではブラジル、中国といった新興国での飛躍的な成長が見られる。


 ◇IMFが注目する理由


 近年、国際通貨基金(IMF)だけではなく、世界の多くの主要国金融監督機関でシャドーバンク部門への関心が集まっており、その一環として、資産運用業への注目が高まっている。ただ、すべての資産運用サービスが〝規制された銀行業の枠組みの外で貸し出しを行う金融仲介業”という意味でのシャドーバンクに属するわけではない実際、投資信託資産の4割強、ETFでは実に8割以上が株式に投資されている。加えて、債券ファンドでもその多くが先進国の国債に投資されており、民間への〝貸し出し”にあたる部分は比較的小さい。また、シャドーバンクに付きまとう規制逃れ的な印象もこの業界には必ずしも当てはまらない。確かに、銀行業とは趣を異にするが、資産運用業、特に一般投資家を対象とするサービスは主に投資家保護という観点から長く規制されてきた業態である。このため、この4月に発行されたIMFの「国際金融安定性報告書」の第三章ではあえて、シャドーバンクとは切り離した形で資産運用業を議論した。………