2015年

6月

02日

古代エジプトマイナス金利:減価する貨幣で経済成長実現 2015年6月2日号

 ◇設備投資促し、格差を解消


加藤敏春

(スマートプロジェクト代表)


 近代以前の貨幣を見ると、その中にはマイナスの金利が付き、「価値保存の手段」としての機能を発揮する余地が全くなかった貨幣が存在した。その代表的な貨幣は四つあり、それぞれ、①古代エジプト、②中世欧州、③江戸時代の日本、④1930年代のドイツ、オーストリア、米国──で流通した。

 まず、古代エジプトでは、農民が収穫した小麦を預託すると、預託した量と日付が刻印された陶器片が配られ、その陶器片を貨幣として使うことができた。

 しかし、6カ月後に10個の陶器片を返却して小麦を得ようとしても、9個の陶器片に相当する小麦しか受け取れない仕組みだった。1個分は小麦の保管に要した経費として徴収されたのだ。この貨幣は、マイナスの金利を有していたことになる。

 農民たちは、陶器片を手元に持っていても減価していくので、それをため込むのでなく、農地とかんがいシステムへと投資した。こうして、陶器片のシステムは、農業の拡大再生産を生み出すという効果を持った。このシステムは1000年以上続いたが、エジプトを占領したローマ人によって放棄された。………