2015年

6月

02日

聖書と金利:商人が支えた「都市型宗教」 2015年6月2日号

 ◇根本にブッダが説いた社会還元


保坂俊司

(中央大学教授)


 商人と都市生活者のための宗教として生まれた仏教は、社会還元という目的の下、利潤追求や金利も認めていた。


 仏教は、今日の日本で「脱世俗」あるいは「無欲」を説く宗教と理解され、おおよそ経済活動とは無縁であるかのように考えられている。しかし、仏教はその発生当初から商人の帰依によって支えられてきた。現代風に言えば、さしずめ「ビジネスマンのための宗教」といったところだ。

 仏教の創始者ゴータマ・シッダールタ(ブッダ)が立教を決意してインド東部のブッダガヤから旅立った時、その道中で最初にブッダに布施、すなわち生活費を寄付したのが二人のアフガニスタン商人だったという伝承がある。シルクロード交易を牛耳った中央アジアの商人が、好んでこの物語を伝えたことは仏教と商業の関係を考える上で重要である。 そもそも仏教が生まれた紀元前6世紀前後のインド社会は、古代以来の農耕中心の村落社会から、商業活動を中心とする都市社会への移行の時期であった。これは比較文明論でいう「都市革命」の時代に当たる。都市革命とは商売や交易など貨幣経済が確立し、人々の生活が劇的に変わったことを意味する。つまり、閉鎖的で地域的な農耕社会から離れ、商業を中心とする開放型の都市社会が生まれたのである。………