2015年

6月

16日

世界を変えるiPS細胞:注目企業の最前線リポート 2015年6月16日特大号

◇ヘリオス iPS医療で先頭、6月上場


 6月16日に東証マザーズに上場するヘリオス。同社は、他家由来のiPS細胞を使って、目の難病「加齢黄斑変性(AMD)」の治療薬開発を目指すバイオ医薬ベンチャーだ。まだ臨床試験に入ったパイプライン(開発品)はないが、多くの研究機関や上場企業と連携するなど上場準備も周到だ。

 同社は2011年に日本網膜研究所として設立された(13年9月に現社名に変更)。13年に、山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長のiPS特許を管理するiPSアカデミアジャパン(京都市)と、視覚機能で重要な機能を担う「網膜色素上皮細胞(RPE細胞)」で特許実施権許諾契約を締結。さらに、理化学研究所からもAMD治療関連で特許実施の許諾を受けている。14年には横浜市立大学と再生医療製品の共同研究を開始している。 大日本住友製薬とは蜜月だ。13年12月、両社は共同開発契約を締結。この契約に基づき、国内におけるiPS細胞由来のRPE細胞の開発を共同で行い、製造販売承認の取得や販売を行うことで合意した。

 資金面では、大日本住友製薬がヘリオスに契約一時金5億円、マイルストン(開発の進捗に応じた成功報酬)を最大11億円支払い、今後の開発資金も大日本住友製薬が100%(最大52億円)負担する。

 課題は費用だ。AMDの治療は自家(患者自身の)細胞を使うと価格が高く、時間もかかる。一方、量産化された他家細胞が利用できれば安く提供できる。ヘリオスと理研は、次のAMDの臨床で他家細胞を大量培養した細胞を使う。さらに、RPE細胞を含んだ懸濁液での事業化も視野に入る。1回目の臨床に使ったRPE細胞シートに比べ、保管や輸送がしやすいためだ。こうしたiPS細胞の量産化のインフラが整えば、治療費は数百万円程度になるとの見方もある。また、早期承認制度が適用されれば17年にも国内市場に出てくる可能性もある。(和島英樹・ラジオNIKKEI記者)


◇武田薬品工業 京大iPS研に320億円


 国内製薬最大手の武田薬品工業は、新薬の発見にiPS細胞を活用する考えだ。4月中旬、京都大学iPS細胞研究所(CサイラiRA)と共同研究契約を締結。武田が今後10年間で計200億円の研究費を負担し、神奈川県藤沢市の湘南研究所内の研究設備を提供(10年間で120億円以上に相当)する。双方からそれぞれ約50人、合計で約100人の研究者が集まり、今秋にも研究を進める予定だ。

 共同研究全体は、京大iPS研の山中伸弥所長が指揮。心不全や糖尿病、認知症、精神・神経疾患など10の疾患研究プロジェクトを組み、山中教授は「10年以内に新薬の発売を目指す」としている。………


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