2015年

7月

14日

IS:「イスラム国」占拠がしぶとい理由 2015年7月14日号


 ◇ナポレオンも使った高等戦術


西村金一

(軍事・情報戦略研究所長)


 イスラム過激派組織「イスラム国(IS= Islamic State)」の勢いは、米軍をはじめ有志連合による2000回超の空爆を受けたにもかかわらず、なかなか衰えないように見える。

 イラク軍やクルド軍も、2014年6月にISに占拠されたイラク第2の都市モスルを奪還できないどころか、15年5月にはイラク西部のラマディを占拠されてしまった。

 ISが14年6月29日に「国家」樹立を宣言してから1年が経過した。有志連合の攻撃を受けても、ISは敗北しそうでしない。占拠した都市をなぜ占領し続けることができるのか。また、米軍や有志連合はどうしてISを壊滅できないのだろう。

 ISは13年8月以降、シリアやイラクの都市に攻勢を掛けている。

 同月には、まず、シリア北西部アレッポ近郊のシリア空軍基地を制圧(図の①)。軍事物資や兵器を奪取するとともに、航空面での劣性を回復した。同12月にはラマディに侵攻。14年1月にこのラマディとファルージャを占拠した(②)。

 この時点で、シリア南部や中部からイラクのバグダッドに至る2本の経路を確保したことになる。

 同3月にはサマッラを攻撃(③)、同6月にモスルを複数回攻撃し(④)、両都市を陥落させた。これにより、シリア北西部からチグリス川沿いにバグダッドに至る経路を制圧。同6月にはタルアファル(⑤)からバクーバまで進撃し(⑥)、その近郊のバイジの油田施設を獲得している。

 その結果、シリア北部からイラクに至る経路をもう一つ制圧した。…………