2015年

7月

21日

WORLD・WATCH:英国 不法移民が倍増 港湾ストにも便乗

フランス北部のカレー(Bloomberg)
フランス北部のカレー(Bloomberg)

大泉陽一(欧州住友商事シニアアナリスト)


 英国で、海を隔てた隣国フランスからの不法移民が問題になっている。英国はフランスに比べて失業率が低く、経済成長率が高いことから、多くの移民が命がけで海峡を越えてきた。英内務省によると、今年は6月時点で、前年同期の倍以上の1万9000人に上る移民が海峡を渡ろうとして未然に阻止されている。 

 現在、フランス側の海峡付近の街カレーでは、3000人以上の難民が、英国に渡るチャンスをうかがって滞在しているようだ。6月23日には、英仏海峡フェリーで船員らによるストライキが発生。この影響で英仏海峡トンネルが一時不通となり、国際高速鉄道「ユーロスター」は運行をキャンセルした。渡英を考えて海峡付近に滞在していた人にとって絶好の機会だ。これに乗じて、大勢が英国行きのトラックに殺到、大混乱となった。 

 英国政府は、不法移民を探知する技術の向上や、犬による探知の強化を発表した。また、カレー港のセキュリティー強化のため、フランスとの共同基金に今後3年間で1200万ポンド(約23億円)を拠出するという。カレーに新たに巨大フェンスを建設することも検討している。 

 カレーから英国入国を狙う多くの移民は、犯罪組織の協力のもと、地中海をボートで渡ってきたと考えられる。英国には、フランスばかりか、イタリアやギリシャからも移民が押し寄せるようになってきた。EUでも問題視されている移民問題は、英国にとっても対岸の火事ではない。