2015年

7月

28日

【中国・ギリシャ 終わらぬ危機】中国 いよいよデフレ突入 2015年7月28日号

◇貿易通じ世界に打撃


柯隆(富士通総研経済研究所主席研究員)


 中国経済は迷走している。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が大きく崩れているわけではないが、構造転換が大幅に遅れているため、景気減速が鮮明になっている(表)。生産年齢人口が減って、労働力の供給が減少に転じた点もさることながら、目下の景気減速の最大の原因は需要不足にある。

 長年、中国の経済成長を牽引(けんいん)してきた投資、消費、輸出の勢いがいずれも弱くなっている。主要産業は過剰設備を抱え、新規投資も減少。消費は国内総生産(GDP)への寄与度で見ると少しずつ拡大しているが50%に満たず、経済成長の牽引役として不十分だ。輸出も拡大していない。

 ◇改善されない内需不足


 それでは今の中国経済はデフレなのか、それともインフレなのか。消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)で見ると、明らかにデフレ、あるいはその入り口に差し掛かっている。ただ、不動産と株式の資産価格で見た場合、インフレは依然として懸念材料だ。

 デフレは需要不足と供給過剰によってもたらされる。中国政府は20年以上も前から「内需振興」を宣言してきたにもかかわらず、いまだに投資と輸出に依存する経済体質は続いている。中国政府が長年信奉する「比較優位戦略」が、あまりにも大成功を収めたためだ。比較優位戦略とは、中国の安い人件費をテコに、輸出できる製造業を振興し、廉価なメード・イン・チャイナの製品や商品を大量に輸出して、経済成長を続けること。ここから脱却するのは、言われるほど簡単ではない。

 確かに比較優位戦略は、新興国経済の成長にとって役立つが、中国のように中所得国のレベルに達すれば、内需依存の成長に転換する必要がある。なぜならば、経済成長とともに、自国通貨の為替レートが切り上がり、人件費も上昇するからだ。そもそも、中国のような大国が経済成長を牽引するエンジンとして、もっぱら外需に期待するのは無理がある。

 内需不足の典型が自動車産業だ。中国の1年間の生産能力は、外資系の完成車メーカーを含めれば5000万台に上るという。一方、1年間に生産される自動車の数は2500万台程度なので、約50%の設備は余っている。自動車は波及係数が大きい産業なので、自動車産業の設備過剰は、アルミなど素材産業の設備も過剰なことを意味する。こうした主要産業の供給過剰は、おのずとデフレをもたらす。

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