2015年

7月

28日

【中国・ギリシャ 終わらぬ危機】中国 株価が3週間で3割超暴落 2015年7月28日号

◇政府の対症療法で高値誘導はムリ


西濱徹

(第一生命経済研究所主席エコノミスト)


 中国の代表的な株価指数である上海総合指数は、直近の最高値をつけた6月12日から約3週間の間に、終値ベースで3割以上も落ち込む異常事態となった。個人投資家の人気が高かった深セン市場に上場するベンチャー企業などの小型株で構成する創業板指数も暴落した。

 中国株は、昨年末から急上昇してきた。上海総合指数は今年6月半ばまでの1年間で約2・5倍に膨らんだ。背景には、昨年11月に上海株式市場と香港株式市場の間で相互取引が解禁されたことがある。外国人投資家による上海株への取引制限も緩和され、香港市場を通じて自由な取引を行うことが可能になった。加えて、中国人民銀行(中央銀行)が2年4カ月ぶりの利下げに踏み切ったことも、株価上昇を後押しした。しかし、今年6月半ばを境に下落に転じた後は、それまでの上昇ペースを上回る速度で暴落した。

 中国の株価が暴落した背景の一つには、個人投資家が多いという特異な市場構造がある。現在の中国は、社会保障制度が整備途上にあるうえ、国内金融機関による資産運用などの動きも鈍いことから、機関投資家が十分に育っていない。そのため、株式市場の日々の取引の8割を個人投資家が占めると言われ、その動向は相場全体を大きく左右する。上海株式市場における個人投資家の口座数は、足元で1億を上回り、深セン株式市場の口座数は上海市場を大きく上回る。

 ただし、中国の個人投資家の多くは、投資判断に必要な情報を得ることが難しい環境にある。それでも昨年末以降は、積極的に売買したため、急激な株高に至った。個人投資家が売買したのはなぜなのか。一因として、年明け以降、株価の上昇ピッチが上がっているにもかかわらず、国営メディアがさらなる投資を奨励する内容の記事を相次いで発表したことが挙げられる。中国の国営メディアは、文字通り政府、ひいては共産党の意見を代弁する機関のため、投資を推奨する記事は、多くの個人投資家にとって、政府や共産党の意見として捉えられた可能性がある。………

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