2015年

7月

28日

追悼:「ロシアの巨人」プリマコフ元首相死去

杉尾 直哉

(毎日新聞モスクワ支局)


 ロシアのエリツィン政権で外相、首相を歴任したエブゲーニー・プリマコフ氏=写真中央=が2015年6月26日に85歳で死去した。「ソ連崩壊後の混乱期から国を救い、欧米諸国との対立を強める今日のロシア外交の基盤を築いた」と評価される人物だ。

 今でも語りぐさとなっているのは、1999年の訪米キャンセルだ。プリマコフ氏は政府専用機で大西洋上を移動中、北大西洋条約機構(NATO)の旧ユーゴスラビア空爆を知り、抗議の意を示すため、モスクワに引き返した。

 常に「強いロシア」を意識した人物だった。2007年の国際会議で、「ソ連崩壊後、米露は主従関係にあったがそんな時代は終わった。米国は我々と対等に付き合うことを学ばざるを得ない」と演説していたのを筆者は覚えている。


 ◇西側へ対抗心新たに


 プーチン大統領は6月29日に大々的な国葬を営んだ。告別式はレーニンらソ連の指導者の葬儀が行われた同盟会館で、数千人が訪れた。修道院での遺体埋葬式ではプーチン氏ら要人が勢ぞろいした。ラブロフ外相は素手で土をすくい、 何度もひつぎにかけた。その一部始終が国営テレビで生中継された。

「ロシアの巨人」の死は、プーチン政権にとって、国民の愛国心を高める仕掛けの一つとなったのは間違いない。プーチン氏は西側諸国の経済制裁にも屈しない決意を新たにしたはずだ。