2015年

8月

11日

よみがえる絶版本:残し、読み継ぐ復刊ビジネス最前線 2015年8月11・18日合併号

黒崎亜弓(編集部)


 松本清張、北杜夫、遠藤周作、栗本薫……。昭和の名作を紙の本と電子書籍の両方で復刊するレーベル「P+DBOOKS(ピープラス・ディー・ブックス)」を5月に小学館が創刊した。

 Pはペーパーバック、Dはデジタルを指す。ペーパーバックの名の通り、紙の本は簡略な装丁で紙質を下げ、デザインも統一して価格を電子書籍と同じく390~650円(税別)とした。創刊時に16点、7月に8点を刊行し、8月以降は毎月、6点程度を予定する。他社で絶版となり、電子化もされていない作品がほとんどだ。

 同社デジタル出版企画室の西坂正樹室長は開高健や三浦綾子の電子書籍による全集を手がけたことが発端という。「この作品も絶版なのか、と驚くことが多かった。文化的な価値の高い作品を、出版社の目利きで残していきたい。長い目で収益を得られればいい」と話す。

 今年1月、改正著作権法の施行により、電子書籍について出版権が明確に設定されたことも後押しした。

 名著とはいえ、絶版となったのは売れないからというのも事実。そのため売り方に工夫をこらす。「特にデジタルでは1点ごと出しても膨大な数の作品に埋もれてしまう。復刊を“かたまり”として見せるためブランドを作った。紙の本は薄く広くばらまくのではなく、欲しい人に確実に届ける」(西坂氏)。

 紙の本を販売する書店は約220の特約店のみ。全国で入手できるよう、47都道府県すべてに最低1店舗は確保した。専用台を作り、モノクロのポスターは眼光鋭い松本清張がタバコを吹かす。想定よりも紙の本の売れ行きがいいという。