2015年

9月

01日

経営者:編集長インタビュー 吉野 孝行 ネットワンシステムズ社長 2015年9月1日号

 ◇綿密な検証力でネットワーク業界を独走

 

  1988年設立。ネットワーク、コンピューター、セキュリティー、ストレージ(記憶装置)関連機器の販売と導入企業へのコンサルティングを事業の柱とする国内最大手のネットワークシステムインテグレーター。2015年3月期の売上高は1431億円。

── 事業内容を教えてください。
吉野 会社ができて27年ですが、中核事業の変遷を振り返ると、およそ10 年ずつ三つに分けることができます。88 年の設立から10年は、まだ「インターネット」という言葉がなく、日本にはネットワーク構築の市場もない時代で、企業内のパソコン(PC)同士をつなぐ「PCLAN」のネットワーク構築を手がけていました。建物や敷地をまたいで、あるいは本社と地方の支社・工場間でコンピューターをつなぎたいという需要に応えていました。
 次の10年はネット時代に入り、電話会社と一緒に電話線を使ったネット回線の普及ビジネスに乗り出しました。当時は通信速度が遅く、高速化が目標でした。

 そして直近の10年は一般消費者向けのネット回線サービスを展開し、特にNTT東日本の「フレッツ」事業に全面的に協力してきました。そこで導入したのが米ネットワーク機器大手シスコシステムズの製品で、それ以来、同社製品の取り扱いでは国内一です。当社は主に通信キャリアを顧客とするBtoBなので一般的な知名度は低いですが、ネットという「第4の社会インフラ」構築を支援しつづけてきました。現在はクラウド(ネット上のサーバー)など新技術を取り入れながら事業を拡大しています。
── 他社との差別化は。
吉野 製品や技術を提供するだけでなく、顧客の課題解決に向けたソリューションの提案やコンサルティングを行ってきました。技術は顧客の課題を解決し「価値」を提供するための手段でしかありません。ネットワーク構築のノウハウを生かし複数の製品を組み合わせ、顧客にとって最適なソリューションを提供できることが他社との違いです。
── 業界首位の秘訣は。
吉野 顧客にシステムを提案する前段で、メーカーの言う通りに動くかどうか綿密な検証を行っていることです。ネットワーク構築では、複数メーカーの機器をそのままつないだだけでは、正常に動かないことがままあり、何事もなく動くことの方が珍しいのです。しかし、当社がシステムを提供する以上、責任も当社にあります。
 そこで検証のためだけに毎年15億~20億円を投じ、約7000台のネットワーク関連機器からなる大規模な検証用設備を社内に置いています。しかも、導入後5年以上たったものは入れ替えています。この規模の設備を持つ企業は日本にはまずないと思います。当社の技術者たちは最先端の機器を「おもちゃ」と呼んで、常に試行錯誤しています。

 ◇画期的な「仮想化」

── 現在の主な収益源は。
吉野 ネットワーク関連機器など製品販売が65%。設計構築や保守運用、改善提案などのサービスが35%です。最近は、クラウド導入と同時にネットワーク機器を購入する顧客も増え、製品とサービスのセット販売の売り上げも伸びています。市場別に見ると、昨年度は官公庁の案件が大きく伸びており、NTTやKDDI、ソフトバンクなどの通信事業者、官公庁、民間企業が収益のほぼ3分の1ずつを占めています。
── 営業利益は変動が激しいです。

吉野 取引企業が通信事業者に集中してしまい、そこに大きく依存してしまったためです。これは経営上大きなリスクとなるため、現在は通信事業者、官公庁、その他民間企業と、三つの市場に分散できるよう、バランスを取っています。現在はこれがうまくいっているので、今後は積極的に事業に投資できるのではないかと考えています。
── 新規分野はどうですか。
吉野 現在、注力している分野の一つはコンピューターの「仮想化」と呼ばれる技術です。これは端的に言えばコンピューターの計算能力を、企業の部署間などで融通し合うことです。通常、各部署の繁忙期はさまざまで、忙しい部署は当然、コンピューターを多用しますが、その時に余裕がある部署のコンピューターのCPU(中央演算システム)を使えるようにするのです。いわば仮想的なコンピューターを作ることで導入台数を節約できます。実際、当社でも導入したところ3年前に220台あったCPUサーバーを30台に減らせました。これは電気代の節約にもつながります。
── 当面の課題は。
吉野 次の3年間、確実に成長するため、今期は社員の生産性向上などの体質改善と、通信事業者、官公庁、民間企業の3市場でバランス良く利益を出せる体制の構築が課題です。今期は通信事業者市場が減収の見込みですが、官公庁は増収傾向で前期並みを維持できる見通しです。民間企業も伸びが期待できます。また、収益の90%は主要取引企業である200~250社とのビジネスで生まれています。ただ、何らかの取引関係のある企業は700~800社あります。これら企業とビジネス関係をどう深めていけるかが鍵です。
(Interviewer=金山隆一・本誌編集長、構成=大堀達也・編集部)


 ◇横顔

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか
A 30代の頃は東京エレクトロンに勤めており、米国の技術を日本の顧客に提案する仕事をしていた。米国と日本の橋渡し役として、寝食を忘れて取り組んでいました。
Q 最近買ったもの
A プライベートの娯楽にゴルフのアイアンセットを購入しました。
Q 休日の過ごし方
A 休日は出張で潰れることも多いですが、休みの時は大体ゴルフをしています。

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 ■人物略歴
 ◇よしの・たかゆき
 1969年富山県立魚津工業高校卒業後、日本電気エンジニアリング入社。東京エレクトロン、日本シスコシステムズなどを経て、2007年10月にネットワンシステムズに入社。08年6月に代表取締役社長に就任。64歳。