2015年

8月

25日

大学と就活:仁義なき就職戦線の全舞台裏 2015年8月25日特大号

 ◇大学生、企業採用担当者、大学職員のホンネ


秋本 裕子

(編集部)


 今年の就職活動では何が起き、昨年と何が変わったのか。大学生、企業採用担当者、大学職員が赤裸々に語る。

【学生】

=有名私大文系4年男子

=有名私大文系4年男子

=地方国立大文系4年女子

=有名私大文系3年女子

=有名国立大理系3年男子

【企業・大学】

=大手企業採用責任者

=関西地方私大職員

=大手企業採用担当者


 ◇インターンは必須

 

 僕は去年インターンに参加した第1志望の大手金融会社から、7月に内々定をもらった。その前に、かなり高級なレストランにも連れて行ってもらったし、立食パーティーや忘年会を通じて社員と密接になることができた。やっぱりインターンは「青田買い」の場と実感した。後輩にもインターンは実質的に採用の場、絶対に行くべきだと勧めている。

 私は体育会クラブに入っていて週6回フルに練習があるから、インターンに行く時間なんてまったく取れない。行った方が採用されやすいと同じゼミの友達や先輩などからよく聞くので、かなり不安がある。体育会は有利らしいから、部のOBにうまく引き上げてほしい。

 僕は1年から外資系IT会社のインターンへ行った。早くから会社の仕事を学んだことは収穫だったし、学歴だけで実力は測れないとわかった。日本企業の採用試験では絶対受からないような人が実は一番優秀だったりする。日本企業は正しく実力を測る手段を考えるべきだ。今は米国の大学に留学して、将来は米国の企業で働こうと思っている。

 私の周囲は教員や公務員志望が多く、民間企業への就活をしている人は皆無。高校時代の友人を頼って活動したが、周囲に情報交換できる相手がおらず苦戦した。インターンもたくさん申し込んだけど、どこにも行けなかった。やはり地方の国立大生は、都内の有名私立大の学生とは情報量の格差やOB・OG不足で就活には決定的に不利と感じた。


 ◇「オワハラ」の実態


 僕はサークルに入ってるし、ゼミや友人同士で情報が入りやすかった。就職サイトや就活生が書き込む掲示板でも情報を得た。大学の就職課で使ったのはOB探しだけ。

 掲示板は、就活生が自主的に匿名で情報を書き込むので参考にはなるけど、情報はあまり信用できない。ウソも多いから。僕が実際受けていた企業の採用面接の形態についても、全然違う情報が載っていた。混乱させるのが目的としか思えない。

 掲示板にウソを書き込まれるのは本当に困る。当社も、まだ誰も最終面接に呼んでいない段階で、「今日最終面接で内々定の電話をもらった。もう採用が終わったらしい」などと書き込みがあった。他の優秀な学生が、そのデマ情報を読んで「あの会社はもう採用活動が終わったんだ」と思われると、別の会社に志望を変えられる可能性もあり困る。だから企業としても、何か変なことが書かれていないか、自衛のために掲示板をマメにチェックしている。

 あまり上位志望ではない建設・不動産関係の会社から内々定をもらった時、その場で書類にサインさせられた。サインしても、後で断ることができると知っていたから、ここまでは想定内。でも、「入社したら受けなければならない資格講座を先に受けてみないか。10万円だけど会社負担だから」と言われた時には、さすがに悩んだ。金銭面での便宜を受けてから断れるかは調べていなかったから。理由をつけて断ったら、「任意だからいいですよ」って。こういうやり取りで、会社に入る意思が本当にあるのかどうかを見極めていたのかもしれない。

 その会社からは、「4月からが楽しみだね」と言われ続けたけど、こう言われると気弱な人は断れないと思う。これも一種の「オワハラ(就活終われハラスメント)」ではないか。

 確かに学生からは今年、「オワハラ」の相談が結構寄せられている。内定をあげるから、別の会社に断りの電話を入れろ、と強要されたという内容。大学としては、その会社に直接苦情を言うと、学生の内定に響いたり、次年度以降の就職活動に影響すると困るので言えない。各大学の就職担当者でつくる協議会には報告したが、どの大学も困っているようだ。同じ企業に苦情が集中する例もあり、対応が課題だ。………