2015年

9月

08日

経営者:編集長インタビュー 佐藤秀哉 テラスカイ社長 2015年9月8日号

◇経験豊富な技術陣強みにクラウド市場を制す


 テラスカイは、サーバーやソフトをネットを通じて利用できるクラウドコンピューティングの分野で、システム導入支援や関連製品の開発・販売などを手掛けている。2016年2月期の業績見通しは、売上高が前期比40・5%増の23億400万円、最終利益は同29・4%増の9300万円。4月30日にマザーズに上場した。

── 市場の動向は。

佐藤 IT業界は今、15?20年に1度のパラダイムシフトとも言える変化の真っただ中にあります。1990年代後半に、事務処理用の「オフコン」(オフィスコンピューター)や「ミニコン」などパソコン上ですべて業務処理する形態から、企業が保有する大型のコンピューターと手元のパソコンをつないで業務処理を行う「クライアント/サーバー型」と呼ばれる形態に変化し、現在はさらに、クラウドコンピューティングに移行しています。

 変革期には、新しいプレーヤーの参入や成長のチャンスがあります。

クラウドは、ようやく黎明(れいめい)期を過ぎ、普及期に入りつつありますが、参入可能なすき間はまだ多い。これから起業する企業もたくさん出てくるでしょう。

── クラウドの利点は。

佐藤 安価に、素早く利用できる点です。大型のコンピューターを自分で所有しなくても、ネットを通じて利用できるため、低コストで済みます。またすでにクラウド上で動いているものをカスタマイズしてすぐに利用できますので、システムを一から作り上げる必要がありません。従来のようにハードウエアやソフトウエアを購入する必要がなく、システムの規模を拡大したり、環境の変化に対応したりするのも簡単です。

── 主力の製品・サービスは。

佐藤 世の中には多くのクラウド関連の製品・サービスがすでに出回っていますが、すべての企業が自社に合ったシステムを構築できるわけではありません。そこで当社は、こうした企業に対し、それぞれのニーズや環境に合った形にカスタマイズしたり、導入や保守・管理を支援したりするサービスを提供しています。「クラウドインテグレーター」という言葉を作って展開していますが、だいぶ浸透しました。

 顧客は、損保ジャパン日本興亜ホールディングスやみずほフィナンシャルグループなど上場企業を中心に約1000社に上ります。金融業界が半分を占めています。

 併せて、クラウドを使いやすくするプラットフォームやソフトウエアなど自社製品も展開しています。あるクラウドと別のクラウドをつなぎやすくするデータ連携サービス「スカイ・オン・デマンド」や、クラウド利用画面作成ツール「スカイ・ビジュアル・エディター」などです。

 今期の売上高見通し23億円のうち、17億円がクラウドインテグレーション事業、6億円が製品事業となる見通しです。将来的には両者の比率を50対50に持っていきたいと考えています。製品事業の比率を高めるのは、粗利益率が高いためです。

── 強みは。

佐藤 経験のあるエンジニアが多い点です。グループの社員約250人のうち、8割がエンジニアです。例えば、世界で最も早くクラウドのビジネスモデルで成功した有力企業の一つ、米セールスフォース・ドットコムのクラウドサービスを一定のレベルで提供できることを示す認定資格者数が日本で最も多い。

── 上場の狙いは。

佐藤 一つは、ベンチャー企業にとって苦戦することの多い人材採用のためです。上場すれば一定の信用力がつき、就職する側のハードルが下がって募集に応じてくれる人が増えます。もう一つは、上場によって発注先から直接、元請けとして業務を受注できるようになることです。これまでは大手企業の孫請けなどによって受注するケースが多かった。

 今期は創業10年目ですが、これまでずっと増収が続いてきました。人材採用も計画以上に進んでいます。仕事はそれ以上に入ってきていて、一部お断りしているほどです。


 ◇世界で通用する企業に


── 米カリフォルニアに子会社を設置しています。

佐藤 米国では製品事業を展開しています。特にスカイ・ビジュアル・エディターのような製品は、米国には当初ありませんでした。IT業界では米国で売れた物を皆使いたがる傾向があります。しかし、これまで米国の企業向け(BtoB)IT市場で成功した日本企業はほとんどありません。

 当社は、世界で通用する企業になりたい。米国で展開しているのは、そのためです。

── お笑い芸人「厚切りジェイソン」として活躍するジェイソン・ダニエルソン氏が部長を務めていることで知名度も高まりました。

佐藤 彼のおかげで当社を知ってもらえるようになったのは、おまけのようなものですが、彼はエンジニアとして非常に優秀です。

── 将来の目標は。

佐藤 世間から「良い会社」と言われるような会社になりたいと思っています。トヨタやキヤノンなどは多くの人から良い会社だと思われています。良い会社と言われる理由はさまざまですが、新卒で当社に入社した人が周りから「良い会社に入ったね」と言ってもらえる会社にしたいです。

(Interviewer=金山隆一・本誌編集長、構成=池田正史・編集部)


 ◇横顔


Q 20代後半から30代前半はどんなビジネスマンでしたか

A 37歳まで日本IBMの営業マンでした。中堅・中小企業などを担当し、年間最優秀営業部員に選ばれたこともあるなど、結構売れている営業マンでしたよ。

Q 最近買ったもの

A マザーズ上場以来、最近は忙しくて買い物する時間をなかなか取れません。

Q 休日の過ごし方

A 海外出張やゴルフのほか、家族と過ごしたりしています。

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 ■人物略歴

 ◇さとう ひでや

新潟県出身。同県立高田高等学校卒業。1987年3月に東京理科大学理工学部を卒業し、同4月に日本IBM入社。米セールスフォース・ドットコムの日本法人などを経て、2006年3月にテラスカイを設立、代表取締役社長に就任。52歳。