2015年

9月

22日

世界がおびえる中国と利上げ:本誌独自アンケート 2015年9月22日特大号

有力エコノミストの16年末米金利予想

◇0・25~1・50%まで4レンジに分散


(編集部)


 いつからどのようなペースで米国の政策金利が引き上げられていくか──。11人の有力エコノミストの本誌独自アンケート結果から探ってみた。

  世界が固唾(かたず)をのんで見守る米国の政策金利の動向。これを決めるのは、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が開催する連邦公開市場 委員会(FOMC)だ。政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標や今後の金融政策方針を決定する最高意思決定機関である。
 FOMCはFRBの正副議長と理事、各連銀総裁の17人の参加者で構成される。通常、年8回開催され、今年6回目となる9月16・17日の会合で、利上げが決定されるかどうかが、注目されている。

 ◇中国リスクで後退

 利上げの動向を見通すうえで市場関係者が注視するのが、 FOMC声明とともに公表される「ドット・チャート」(図1)だ。FOMCの参加者17人が将来の政策金利誘導目標の見通しを点(ドット)で示したもので ある。政策金利の変動幅は、慣例的に0・25%単位。点の配置が年を追うごとにどれほど上昇するのかは、利上げのペースの目安になる。
  6月公表時点のドット・チャートをみると、例えば2016年末のFF金利予想を1・25~1・50%としている参加者が最多の4人となっている。それ以下 を予想するのは3人だけで、残る10人は1・50%よりも高い水準を挙げており、最も高い誘導目標は2人だけだが、2・75~3%だ。
 しかし、7月に中国株急落や8月には中国発の世界同時株安、資源価格急落があり、6月時点と状況はかなり違ってきている。
 そこで、国内外シンクタンクの有力エコノミスト11人に、16年末のFF金利を予想してもらった(回答は8月下旬から9月初旬)。
  結果は0・25~0・50%(2人)、0・75~1・00%、1・00~1・25%、1・25~1・50%(それぞれ3人)の四つの水準に散らばった(図 2)。FOMCの6月のドット・チャートに比べると、9月のFOMC直前に実施した民間エコノミストのアンケート結果のほうが全体的に予想が低くなってい る。
 6月時点のFOMCの最多で、本誌独自アンケート結果の最も高いレンジである1・25~1・50%を予想するエコノミストに共通するのは、米国経済は堅調という認識だ。
  米スタンダード&プアーズ(S&P)のベス・アン・ボビーノ米国担当チーフ・エコノミストは、「米国経済は安定した基盤の上にある」という認識を示す。ま た、農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、「米国経済は家計部門を中心に底堅く推移しており、FRBは正常化の遅れが将来のインフレリスクを高めるこ とは回避したいと考えているため、年内には利上げは決断される」とみる。
 ただ、6月時点ではそれほど意識されなかった中国リスクが、各エコノミストの利上げ予想に変化を与えている。
 明治安田生命の小玉祐一チーフエコノミストは、中国発の金融市場の混乱で事情は変わったとしたうえで、「すでに市場コンセンサスは利上げ先送りに傾いている」と指摘する。16年末のFFレートを1・00~1・25%と予想する第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストも「中国経済減速と株価不安定化によって、年内利上げは見送られ、来年初に利上げ開始」と予想する。
 大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「中国を中心に世界経済の減速懸念が高まっており、グローバルな金融市場が不安定な状況にある中でFRBが利上げに踏み切るとは考えにくい」と語る。