2015年

9月

22日

世界がおびえる中国と利上げ:為替リスク 2015年9月22日特大号

 ◇利上げはドル安の引き金に

 ◇元安、円高、ユーロ高へ


佐々木融

(JPモルガン・チェース銀行市場調査本部長)


 8月半ばに中国が為替制度を変更して以降、市場参加者のリスク回避志向が強まり、世界の株価が大きく下落している。しかし、実はこの間、ドルの変動は止まっている。この1カ月弱の間、市場参加者のリスク選好度には波があり、いわゆる「リスクオン」の状態と「リスクオフ」の状態を繰り返している。

 先進国通貨の中では、こうしたセンチメント(市場心理)の変化の中で、円、ユーロ、スイス・フランといった「低金利通貨」に対する豪ドル、カナダ・ドル、英ポンドといった「高金利・資源国通貨」という構図が形成されている。リスクオンの時には、「低金利通貨」が売られる一方、「高金利・資源国通貨」が買われる。リスクオフの時には、その逆の現象が起きている。


 ◇うわさで買い、事実で売る


 この間、米ドルは真ん中の順位が多くなっている。米国の金利が上下動しても、米ドルは全体としては動きを見せない。ドル・円相場が上下動しているのも、ほとんど円が動いていることが要因になっており、ドルが上下動しているのではない。JPモルガンが算出する米ドルの名目実効レートは、9月4日までの1カ月間、約1・5%という狭いレンジ内で上下動を続けている。こうした状況は、9月4日の8月の米雇用統計発表を受けても変わらなかった。

 もっとも、米連邦準備制度理事会(FRB)が、少なくとも年内に一度は利上げすると予想されているなか、利上げが行われたらドルが上昇を再開するとの期待は強いだろう。

 しかし、筆者はFRBが実際に利上げを行った場合、ドルは上昇を再開するのではなく、逆に過去1年間の上昇トレンドと最近の停滞モードを終え、反落基調に入るのではないかと見ている。なぜなら過去の経験則から見て、ドルはFRBが利上げを開始したタイミングでピークを打つ傾向があるからである。

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