2015年

9月

22日

世界がおびえる中国と利上げ:中国に振り回される日本株 2015年9月22日特大号

 ◇中国に振り回される日本株

 ◇アップル急落が関連企業に波及



藤戸 則弘

(三菱UFJモルガン・スタンレー証券参与・投資情報部長)


 従来、中国関連業種と言えば、石油・鉱業、商社などのエネルギー関連や、鉄鋼、非鉄金属などの素材、建設機械、工作機械、油圧機器、海運などが代表的であった。しかし、今や世界最大の中国関連株は米アップルだ。

 アップルの2015年4〜6月期の売上高は496億㌦(約6兆円)。地域別では「北米・南米」が202億㌦と約4割を占め、前年比の伸び率は約15%だった。ところが、中国本土・香港・台湾の合計である「大中華圏」は売上高132億㌦、全売り上げに占めるシェアは約25%で、同伸び率はプラス112%と倍増している。つまり、急速に拡大する「大中華圏」の売り上げが、今後のアップルの業績を左右することになる。

◇消えた63兆円


 アップルが中国関連としての色彩が濃厚になった状況で、今回の中国の減速・株価急落という事態に直面した。また、4〜6月期の製品別の売り上げシェアは、アイフォーンが63・2%と圧倒的だ。つまりアップルは、「中国・アイフォーン依存」の構図が鮮明になっている。アップルの株価は、今年4月28日に史上最高値134・5㌦をつけていた。ところが、8月24日には取引時間中に92・0㌦まで急落する局面があった。短期で31・6%の下落である。ピーク時の時価総額は約7700億㌦(約92兆円)と世界最大であったが、急落時には約2400億㌦(約29兆円)へと7割も減少した。トヨタの時価総額を上回る巨額が短期間で消失したことになる。

 アップルの株価は、その後やや持ち直している。しかし、今や巨大な時価総額はナスダック総合指数やダウ工業株30種平均といった株価指数にも大きな影響を与えている。そのアップルの株価が、中国需要と単一製品アイフォーンで構築されていることに最大のリスクがある。

 米国では、アップル株の急落と共に、アップル向けのサプライヤー(部品供給企業)の株価が急落した。例えば、通信用半導体・電子部品企業のアバゴ・テクノロジーズやスカイワークス・ソリューションズだ。

 この動きは、日本にも波及した。スマホ向け電子部品の村田製作所は、15年4〜6月期に過去最高益を計上。日東電工も税引き前利益が前年同期比39・3%増となった。だが、6月から9月にかけて村田製作所は26・8%、日東電工は25・8%株価が下落。実は、日本を代表する電子部品企業の多くは、中国を含めたアジア向けの売上高シェアが高い(表)。背景を理解していないと、株価の下落が理解できない。

 米調査会社IDCは「中国のスマホ市場は、より成熟した成長パターンに移行した。中国の出荷台数は、昨年の前年比19・7%増から今年は1・2%増に著しく鈍化する」と厳しい予測を発表している。つまり、中国の景気減速→上海株急落→個人消費の鈍化懸念→アイフォーンの伸び鈍化懸念→アップル株の下落→グローバルな関連銘柄の下落という負の連鎖である。

 今秋には、新型アイフォーンが発売され、アップルや関連企業が再評価される可能性もある。しかし、新製品の販売が予想に達しない場合には、一段と状況が悪化するリスクがあることも留意すべきであろう。