2015年

9月

22日

経営者:編集長インタビュー 馬場 信輔 あおぞら銀行社長 2015年9月22日特大号 

◇六つの柱でリスクを分散し収益を高める


あおぞら銀行は、経営破綻して公的資金による救済を受けた日本債券信用銀行を前身とする。2001年に現在の行名に改称し、今年で15年が経過した。


── あおぞら銀行の特徴は。

馬場 当行は、メガバンクや地銀と違う立ち位置を確立している銀行です。中堅・中小企業との取引、不動産や事業再生案件といった専門性の高い融資を扱う「スペシャリティ・ファイナンス業務」、海外融資、シニア層との個人取引、地域金融機関に対する運用商品や融資の提供、海外を含む有価証券運用──の六つの収益分野において、専門性の高い金融サービスの提供に努めています。

リーマン・ショック後は多額の損失を被るも、09年度から14 年度まで6期連続で業績目標を達成、15年度は第1四半期で通期予想の28・7%を占める124億円の当期純利益を計上した。


── 近年の業績推移をどう見ていますか。

馬場 そもそも当行は、06年の上場以降、再建を急ぎ過ぎていたのです。収益拡大のため、高リスクや大口の投融資に傾倒し、リーマン・ショックで多大な損失を被ってしまいました。

 収益改善は、事業の選択と集中を進め、六つの収益分野を築いたことが奏功しました。とりわけ日債銀時代から得意としていた中堅・中小企業取引やスペシャリティ・ファイナンスでは、優良案件を獲得、一定の利ざやを確保しています。

 改革以来注力してきたのが、個人の資産運用です。シニア層の顧客が多い当行では、預金1口座当たりの預け入れ残高が500万円ほどで、全国平均の10倍もあります。投資信託の手数料収入は12年度から2桁の伸びを維持しています。

 顧客のニーズを踏まえ、一人1時間以上かけて納得してもらうまで説明するスタイルで、「ソフトセル」と呼んでいます。この一環で、13年には個人営業専用の研修施設「あおぞらアカデミー」を開設、担当者約200人のスキルアップに努めているほか、14年には投信を開発、提供する子会社として「あおぞら投信」を設立しました。

 また、現在の有価証券運用では、株や金利を軸とした商品のほか、債券やローンといったクレジットなど国内外のさまざまなリスク商品に約100人の人員で投資しています。


◇15年で公的資金完済


── 今年、公的資金を前倒しで完済しました。

馬場 あおぞら銀行がスタートして、完済まで15年は長過ぎたと思います。旧日債銀の最後の経営陣3人は粉飾決算の容疑で裁判に立たされていました。逆転無罪にはなりましたが、結局、窪田弘元会長、岩城忠男元副頭取の生前には(完済が)間に合いませんでした。ただ、ようやく経営の新たなステージに立てました。当行は、過去に国の救済を受け、再生させていただいた銀行です。これを経営の原点として、二度と信用不安を起こさず、事業を通じて社会に恩返しをしなくてはなりません。

── 03年から大株主だった米投資会社サーベラスが、13年に全株を売却しました。

馬場 50%もの株式を保有していた同社が離れたことで、当行の株主構成は大きく変わりました。いま、大株主は年金基金や国内の個人投資家です。株主重視の経営を志向しているため、ガバナンスのあり方は重要な課題と捉えています。そこで当行では、取締役8人のうち4人を社外の人材としています。また、他社との株式持ち合いはしていません。

── 銀行全体の資産についての考え方は。

馬場 機動的に運営するためには、資産は多ければいいというものではなく、効率的に使うべきです。日債銀時代に約15兆円抱えていた総資産は、リーマン・ショック以前は7兆円に、現在は約5兆円ほどに圧縮してきました。リーマン・ショック後の09年度決算では2400億円の赤字を出して不良資産を一気に売却するとともに、物件費、人件費などの経費の無駄を徹底的に見直しました。

── 今後の収益向上策は。

馬場 引き続き六つの柱を軸として収益の拡大に取り組みます。国内の融資需要が厳しいなか、拡大が見込めるのが海外です。非日系企業の協調融資などを獲得するよう取り組んでいます。特に、ニューヨーク駐在員事務所を置く北米で複数の融資を獲得してきました。企業融資のほか、不動産でも、経験豊富な人材を投入することで拡大を図ります。

 また、国内の地域金融機関との取引も活発化を見込んでいます。協調融資の案件を紹介するだけでなく、運用商品を提供しています。デリバティブ(金融派生商品)を組み合わせた5~10年単位の預金で、低金利で国債の運用環境が悪化しているなか、高めの利回りを確保できる商品です。

── GMOインターネットと共同のネット銀行運営を発表しました。

馬場 成長著しいインターネットのビジネスは、銀行としても手を打つべき分野です。効率的、安定的、安全な金融サービスの提供について、個人だけでなく事業性取引も含めて検討していきます。

(Interviewer 金山隆一・本誌編集長構成=藤沢 壮・編集部)



◇横 顔


Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A 1980年代後半で、東京の本店で国際関連業務に従事していました。銀行が拡大期にあり、海外での出店や現地法人買収などを手伝い、忙しくしていました。

Q 最近買ったもの

A 扇風機を買いました。

Q 休日の過ごし方

A 週に12回、スポーツジムで汗を流しています。ゴルフもたまに楽しんでいます。


………………………………………………………………………………………………………

■人物略歴

ばば しんすけ

熊本県出身。1973年都立新宿高校卒、77年東京大学経済学部卒、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)入行。2005年執行役員事業法人営業本部長、12年9月社長就任。61歳。