2015年

9月

29日

エコノミストリポート:日銀 次の緩和の一手は? 2015年9月29日号

 ◇インフレ目標達成に追加緩和必要

 ◇強力な構造改革の推進も不可欠


デニス・ボトマン

(国際通貨基金アジア太平洋局日本担当副課長)


 日本銀行が2013年4月に導入した量的・質的金融緩和(QQE) 政策は、三つの経路を通じて物価の上昇と経済活動に反映されることが期待された。

 三つの経路とは、タームプレミアム(期間に伴う上乗せ金利)とリスクプレミアム(上乗せ金利)の抑制による金利の低下、インフレ予想の上昇、及び金融機関による高利回り資産へのポートフォリオのリバランスの促進である。さらにこうしたメカニズムの副産物として為替レートが下落することが予想されていた。これらは、程度の差はあるものの、おおむね期待通りの効果を上げた。

 しかし、QQE政策の目標は、インフレ率上昇だけではない。デフレ心理に終止符を打つことで、民間部門の経済活動やリスクテーキングを加速させ、成長を支え、公的債務の増加傾向を転換させることが期待された。

 国際通貨基金(IMF)が発表した最新の日本に関するリポートによると、こうした最終目標は、一層強力な構造改革への取り組み、特に労働市場改革を進めることで賃金と生産性の伸びを促せるかにかかる。


 ◇金利低下に予想通りの効果


 金融緩和は、資産価格、為替レート、銀行融資に影響を及ぼし、実体経済に波及していくとされる。資産効果、借り入れコストの低下が所得と支出の増加につながり、成長とインフレ率の上昇をもたらす。債券利回りは低下し、新規融資に求められるリスク・リターンの基準が下がる。………