2015年

9月

29日

歴史に学ぶ通貨と為替:人民元切り下げの理由は? 2015年9月29日号

 ◇政治的ガス抜き、通貨安で資本流出抑制


村田雅志

(ブラウン・ブラザーズ・ハリマン通貨ストラテジスト)


 中国人民銀行(中央銀行)は8月11日、国内(オンショア)市場の人民元・ドルレートの基準値算定方法を「前日終値を参考にする」方式に変更し、同日の基準値を1㌦=6・2298元と前日から1・9%ドル高・元安方向に設定した。


 基準値とは、人民元相場の変動を一定の範囲に制限するために設定される、文字通り人民元相場の基準となるもの。毎日午前9時15分ごろに人民銀が発表し、銀行は基準値の上下2%以内でしか人民元を取引できないルールとなっている。

 事前の告知もなく突然に算定方法を変え、基準値を1日で2%近くも元安方向に動かしたことは、中国当局が事実上、人民元の切り下げに動いたことを意味する。


 ◇「輸出支援」ではない

 中国当局が人民元を切り下げた理由はいくつか考えられる。

 切り下げ発表直後に多く指摘されたのが、中国景気の減速だ。………