2015年

9月

29日

歴史に学ぶ通貨と為替:新興国通貨危機の再来は? 2015年9月29日号

 ◇経常収支や通貨制度違い対応可


棚瀬順哉

(JPモルガン・チェース銀行為替調査部長)


 本稿執筆時点(9月14日)では、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月16、17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切るか否かは不明だが、仮に今回利上げを見送ったとしても、年内に利上げが実施される可能性は高いとみている。



 ◇04年6月と13年5月の違い


 FRBの利上げが視野に入る中、大規模な新興国資産売りを招くリスクへの懸念が高まっている。

 2013年半ばには、早期の量的緩和縮小(テーパリング)開始を示唆するバーナンキFRB議長(当時)の発言等を受けて米長期金利が急騰、市場のボラティリティー(変動率)が高まる中で新興国を含むリスク資産が大きく売られる展開となった。「13年にはテーパリングを示唆しただけであれだけ新興国資産が売られたのだから、実際に利上げが行われたらさらに大きく売られてもおかしくない」との見方が、そうした懸念の背景にあると考えられる。

 しかし、04年6月の前回の利上げ開始前後を振り返ると、新興国資産は実際に米国が利上げした後に株高・自国通貨高・債券高のトリプル高となった。13年にはテーパリングが示唆されただけで新興国資産が大きく売られたのに対し、04年には実際に利上げが行われたのに新興国資産がむしろ買われた。

 双方の反応の違いをもたらした原因は何だったのだろうか。

 図1は、04年の米利上げと13年のバーナンキ・ショック前後の米長期金利の動向を示したものである。対照的な動きだったことが分かる。………