2015年

10月

06日

【不眠症治療の最前線】眠りのメカニズムを解明 2015年10月6日号

現代人 睡眠不足 日本人
ストレスの多い現代人は睡眠不足になりがち  Bloomberg

 

 小林 和夫(メディカル・ライター)


 日本は世界屈指の「眠らない国」だ。NHK放送文化研究所の「国民生活時間調査」(2010年)によると、日本人の平均睡眠時間は年々減少の一途をたどっていて、平日は7時間14分、土・日は若干長めとなるものの8時間を切っている。経済協力開発機構(OECD)の調査(09年)を見ると、この数字は最長のフランスより約1時間少なく、調査結果のある18カ国中2番目に短い。

 単に睡眠時間が少ないだけでなく、ストレスが多い現代社会においては睡眠の質も低下気味だ。「明日の会議が気になって眠れない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」などの悩みを持つ人は少なくないだろう。

 日本睡眠学会は、寝付きが悪い「入眠障害」や、夜中に目が覚める「中途覚醒」、よく眠れたとの満足感を得られない「熟眠障害」、早く目が覚めてしまう「早朝覚醒」のいずれかが週に2回以上、1カ月以上継続し、そのため社会生活や健康面で何らかの支障が出ているケースを不眠症と定義している。

 国立精神・神経医療センターなどによると、日本人の不眠症罹患(りかん)率は一般成人の10%程度だが、不眠症を自覚しない、いわゆる隠れ不眠の患者数はさらに多いと見られる。

 不眠症になると、作業効率の低下や事故の増加などにつながる可能性がある。内山真・日本大学医学部教授の研究によると、不眠症を含む何らかの睡眠障害による経済的な損失は、年間3・5兆円にものぼる。これは、消費増税後の景気を下支えするために昨年12月、政府が閣議決定した緊急経済対策とほぼ同額だ。

 睡眠総合ケアクリニック代々木の理事長で東京医科大学睡眠学講座の教授を務める井上雄一医師は「きちんと眠れないと、ホルモンのバランスが崩れて肥満に陥りやすく、高血圧や糖尿病といった生活習慣病にかかる危険も約2倍に増加する。不眠がうつ病のリスクとなることも明らかになっている」と話す。

 だが、不眠症状が顕著でも医療機関の受診をためらう人は多い。ある医療総合サイトが実施した不眠症治療に関するインターネット調査(12年)では、不眠症状に悩む人の半数以上が「医療機関を受診していない」と答えている。「(不眠は)深刻でない」「不眠症治療薬の服用に抵抗がある」などが主たる理由だ。


 ◇進化する睡眠導入薬


 確かに不眠症治療では、...

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