2015年

10月

06日

【創薬】黒字化する日本のバイオベンチャー 2015年10月6日号

がん治療薬への期待度は大きい Bloomberg
がん治療薬への期待度は大きい Bloomberg






 

 ◇次はがん、インフル用ワクチン


 山崎 清一(いちよし経済研究所首席研究員)


 先行投資で多くの日本のバイオベンチャーが赤字経営を続ける中、収益が向上する企業が出てきた。ペプチドリーム(東京都目黒区)が8月に発表した2015年6月期の経常利益は14・96億円、前期比6・7倍となり、東証マザーズに14年9月に上場したリボミック(東京都港区)も15年3月期に経常黒字を達成。UMNファーマ(秋田市)は、提携先のアステラス製薬が国内で承認申請している新薬が年内に承認されれば、16年12月期の黒字転換が見込まれる。

 3社に共通するのは、創薬にバイオ医薬の技術を利用している点だ。

 従来の医薬品は化学合成によって作られる低分子薬が主流だった。低分子薬は有効成分の発見に時間がかかる一方、患者数が多い疾患の新薬を開発すれば大量生産で莫大(ばくだい)な売り上げを上げることができる。だが、低分子薬は新薬候補となる有効成分が見つかりにくい状況に陥っている。

 代わって新薬開発が活発化しているのがバイオ医薬だ。バイオ医薬はたんぱく質や遺伝子、細胞などの生体物質を利用して作られる。1980年代から本格的に使用されるようになり、08年以降は世界の医薬品売り上げトップ10の半分以上を占めるようになった(図1)。

 バイオ医薬の製造などに高度な専門性が求められるうえ、対象とする疾患の領域も狭く、大手製薬会社が自社開発するのは難しい。そのため大学や研究機関から生まれたバイオベンチャーが主な開発の担い手となっている。

 バイオベンチャーが医薬品および医薬品を開発する創薬技術の研究開発を行い、実用化のメドが見えてきたところで大手製薬会社が共同開発の形で資金を投じ、臨床試験を通じて医薬品として製品化するモデルが広がってきた。

 こうした医薬品開発のビジネスモデルの転換がバイオベンチャーに収益獲得機会をもたらしている。従来は欧米のバイオベンチャーが市場をけん引してきたが、近年、日本発のバイオベンチャーも収益化に成功する事例が出てきた。

 バイオ医薬が台頭してきた最大の理由は、がんやリウマチなど、従来の医薬品が攻めあぐねていた領域で有用性が証明されたことが大きい。バイオ医薬品には抗体医薬、核酸医薬、ペプチド医薬などの種類があるが、特に貢献度が高いのが抗体医薬だ(図2)。


 ◇きっかけは抗体医薬


 抗体医薬とは体内に侵入したウイルスなどの異物を排除するたんぱく質(抗体)を利用した医薬品を指す。...

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