2015年

10月

13日

経営者:編集長インタビュー 野島隆久 ピーシーデポコーポレーション社長 2015年10月13日号

 ◇世界唯一の「ITコンシェルジュ」


 ピーシーデポコーポレーションは、パソコンをはじめとしたインターネット関連機器の販売・修理を手がけ、関東圏を中心にドミナント?特定の地域に集中して?出店している。他店で購入した機器も含めた保守サポートを月額制の会員サービスとして展開、複雑化するデジタル機器に関する総合的な技術サービスが口コミで広がり会員を増やしている。2016年3月期の当期純利益予想は、前年比25%増の24億円を見込む。

── パソコン販売の専門店として創業した経緯を教えてください。

野島 元々小売業界にいた関係で、独立したら何を売ろうかと考えていました。創業した1994年当時はパソコンが家庭に入り始めた頃でしたが、コモディティー化(日用品化)するのは予想できました。世帯普及率が5%程度で伸びしろも大きいと考え、まだ珍しかったロードサイド型店舗(路面店)のパソコンショップとして開店しました。直後に「ウィンドウズ95」ブームが起き、その波に乗れました。直近ではデジタル機器の販売が売り上げの6割、技術サポートや月額制の保守サービスを中心としたサービス販売が4割です。

── 主力事業に成長した保守サービスを始めたきっかけは。

野島 05年ごろからネットにつながるデジタル機器の多様化に伴い、パソコンとの接続など複雑化した取り扱いに関する相談や、機器の修理依頼も増えました。他店より技術に詳しい者が多かったので修理カウンターを設け、使い方など技術サポートを含めて修理を受け付けていましたが、数が増え、その場の修理では追い付かなくなりました。また、当社で購入した機器以外は相談しにくいという人もいました。

 それなら顧客が持っているデジタル製品を、当社で購入したものに限らず一括して面倒を見る継続サポートの形にできないかと考えました。そこで、06年に月額1500円程度からの会員制の保守サービスを始めました。ドミナント型で局所的に出店しているので、「困ったらPCデポがいい」と口コミで顧客が増えていきました。会員数は公表していませんが、3年前に「30万世帯突破」と書いたアナリストリポートが出まして、これは誤りではありません。

── 12年3月期からの営業利益急増も保守サービスの恩恵ですか。

野島 その通りです。近年はスマホやタブレットの普及でサービス販売の売り上げが年率20 %で増えており、今期も25%の増収を見込んでいます。パソコン需要の頭打ちで、物販の売り上げが伸び悩む中、保守サービスのおかげで生き残っていると言えます。

── 現在の料金と内容は。

野島 主力のサービス料金は、デジタル機器1台なら2000円、3台3500円、7台4500円、10台5000円で家族のデバイスもサービスを受けられます。サービスはチームで行い、商品紹介、契約、使用説明、設置、コンサルティングなどで担当を分けています。スマホの請求書のチェックも行い、家計の無駄が省けるようアドバイスもします。

 顧客は無駄な機器がなくなることで、もう1台デバイスを買う余裕も出てくるなど消費が「筋肉質」に変わります。言わばIT分野のかかりつけのお医者さんのようなものです。時間をかけて総合的にサポートするという意味では「ITのコンシェルジュ」と言えます。このビジネスモデルは世界でも他にないでしょう。


 ◇日本の人口の20%をカバー


── 家電量販店とのすみ分けは。

野島 当社は機器を使いたいのに使えない人に照準を合わせています。つまり「困っているお客様優先」です。顧客の潜在的なサポートニーズに応えると、壊れたらまた買ってくれるので追加需要が発生します。顧客に使ってもらうことがビジネスサイクルを生みます。これは家電量販店ともネット通販店とも競合しないサービスモデルです。

── 今後の課題は。

野島 一つは出店率の向上です。現在、出店している自治体の人口は、日本の全人口の約18 %。市場はかなり残っています。ただ、IT機器を扱う業態では第1次産業しかない地域への出店は難しいので、都市部を開拓することになります。今年度は500万~600万人の人口を抱える東京都心部を含めた4店舗を出店予定で、これにより全人口に対する比率が20%に上昇します。

 もう一つは「IoT(モノのインターネット)」への対応です。IoTとは、例えば帰宅中に駅で定期券を改札機にかざすと、自宅のエアコンが動き出すなど、さまざまなデバイス同士が連携することです。そこでは各メーカーの異なるデバイスをつなぐ役目をする機器や技術が重要です。それを提供し、継続的にサポートを行う企業は今のところありませんが、当社はそのサービスを提供できる位置にいます。最近では、スマホと無線通信でつながるヘルスメーター(オムロン社製)のサポートも開始しました。

── どんな会社を目指しますか。

野島 経営目標としては売上高経常利益率10%、株主資本利益率(ROE)15%を掲げています。理念としては困っているお客様との距離が近い会社であり続けたいです。また、販売日本一は目指しません。パイの奪い合いでなく、「新規需要掘り起こしモデル」を目指します。

(構成=大堀達也・編集部)

    Interviewer 金山 隆一(本誌編集長) Photo 根岸 基弘:神奈川県横浜市の本社で


■横 顔

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

 父が経営する家電量販店ノジマを34歳で辞め、独立しました。創業5年でジャスダックに上場しました。

Q 最近買ったもの

 「アップルウオッチ」です。新しもの好きなので。毎日着けていて、結構はまっています。

Q 休日の過ごし方

 街歩きです。海外に行っても観光名所は行かず庶民の生活を見るのが好きです。

 

■人物略歴

のじま たかひさ  神奈川県出身。1978年桜美林高校卒業。82年桜美林大学経済学部卒業後、野島電気商会(現ノジマ)入社。94年独立し、ピーシーマーチャンダイズ(現ピーシーデポコーポレーション)を設立。99年10月にジャスダック上場。56歳。