2015年

10月

20日

第2特集:韓国の限界 ロッテグループが迫られた選択 2015年10月20日特大号

◇「お家騒動」の波紋

◇「韓国企業」か「日本企業」か


金志敏

(ジャーナリスト)


 日韓で事業を展開するロッテグループで、創業家一族による「お家騒動」が韓国内で思わぬ波紋を巻き起こしている。ロッテグループは韓国企業なのか、日本企業なのか──という問題だ。韓国ではホテルや百貨店、石油化学、損害保険など幅広い事業を展開し、韓国5位の財閥グループでありながら、お家騒動の過程では日本のロッテホールディングス(HD)が実質的な支配権を持っていることが明らかに。その不透明な資本構造に批判が集まり、韓国企業であるとの説明に追われている。

「日本と韓国がサッカーをしたら、どっちを応援しますか」──。

 韓国国会の政務委員会で9月17日、国会議員が韓国ロッテグループ会長の重光昭夫氏(60、韓国名・辛東彬(シンドンピン))に質問を投げかけた。昭夫氏は日本と韓国のどちらを応援するのかには答えず、主語を省略して「一生懸命応援している」とだけ答えた。昭夫氏は韓国籍だが、日本生まれの日本育ち。受け答えは韓国語でこなしたが、日本語的な表現の韓国語も時折、入り交じった。議員からは「ロッテは日本企業なのではないか」「韓国語が上手ですね」といった質問も飛んだ。

 政務委員会が昭夫氏を呼び出したのは、公正取引委員会の国政監査の証人としてだった。韓国では年に一度、国会議員が行政機関の業務を監査する。昭夫氏が公正取引委員会の経営関連資料提出の要求に応じていないことが証人として呼ばれた理由だが、質問の多くはそうした理由とは直接関係のないロッテの経営問題に集中。創業家一族のお家騒動の経緯のほか、複雑なロッテグループの出資関係について質問が相次いだ。


 ◇売上高は韓国が圧倒


 ロッテグループは、昭夫会長の父で韓国・蔚山(ウルサン)出身の重光武雄氏(93、韓国名・辛格浩(シンギョクホ))が1947年、東京でガム製造を始めたことからスタートする。翌48年にロッテを設立し、戦後の復興と経済成長の波に乗って事業を拡大。65年に日韓が国交正常化すると、66年に韓国でロッテ製菓を設立し、念願だった韓国への進出を遂げた。70年代には韓国最大の食品会社に成長しただけでなく、ホテルや小売業へも事業を多角化。企業買収を通じて石油化学や建設業などへも手を広げた。...