2015年

10月

27日

ノーベル経済学賞 2015年10月27日号

◇消費・貧困分析で輝く
◇ディートン氏の業績


庄司匡宏
(成城大学経済学部准教授)


 2015年のノーベル経済学賞が10月12日、米プリンストン大のアンガス・ディートン教授(69)に決まった。受賞理由は「消費、貧困、厚生に関する分析」。「消費行動」という全ての人々が日々行っている最も根本となる経済活動を研究し、それを分析するためのデータ環境の改善にも大きく貢献した。その知見は途上国の貧困削減政策をはじめ、さまざまな分野に生かされている。

 ディートン氏は英スコットランド出身で、ケンブリッジ大で博士号を取得後、83年にプリンストン大教授に就任した。ディートン氏が受賞後のインタビュー で「データを用いてパズルに取り組んできた」と述べたように、この複雑な社会の経済構造をデータで解明したいという熱意が研究を支えている。そして、当時 は一般的ではなかった「世帯」データを用い、世帯の消費水準の決まり方や一国の需
要の決定要因、貧困が生じるメカニズムまで、幅広い分野で重要な業績を残してきた。
  経済学ではそれまで、米経済学者フリードマンの唱えた「恒常所得仮説」(家計の消費は恒常的な所得によって決まり、一時的な所得変動は消費に影響しないと する仮説)に基づき、マクロ経済データを用いて消費行動を分析していた。ディートン氏は1980年代、理論の仮定とより整合的なミクロの世帯データによっ て消費行動を分析。結果的に人々の消費パターンが恒常所得仮説と整合することを示した。