2015年

11月

03日

再開発:東京駅前に高さ日本一のビル 2015年11月3日特大号

 ◇390㍍の「摩天楼」が誕生


酒井雅浩

(編集部)


 三菱地所が8月31日に発表した「東京駅前に高さ390㍍、日本一の超高層ビル建設計画」は東京の新しいランドマークとして、早くも期待を集めている(写真は完成予想図=三菱地所提供)。2020年の五輪開催で世界中から東京が注目される中、「五輪後」に着工するこのビルは、五輪後の衰退を懸念する声に対して一石を投じるニュースだ。

 しかし、イメージ図を見て、ふと疑問を感じた。「でかすぎるのではないだろうか?」。既に超高層ビルが林立している東京駅周辺でも圧倒的に大きく、別格だ。不安を解消するために、計画地を歩いた。

 ◇よみがえる計画?


 この計画は、三菱地所がJR東京駅日本橋口前で進める「常盤橋街区再開発プロジェクト」。東京都千代田区大手町2丁目、中央区八重洲1丁目にまたがる3万1400平方㍍に、四つのビルを建設する。総延べ床面積は68万平方㍍。敷地内に、災害復旧拠点や帰宅困難者支援に活用できる広さ7000平方㍍の大規模広場も設ける。17?27年度の10年以上かけて建設が進められ、周辺エリアの建築工事費などから試算した事業費は1兆円を超えるという、まさにビッグプロジェクトだ。

 日本一のビルは、地上61階、地下5階。高さは14年3月に全面開業した大阪市の「あべのハルカス」(高さ300㍍)を大きく上回る。日本一高い建築物の「東京スカイツリー」(高さ634㍍)で比較すると、展望デッキ(地上350㍍)と展望回廊(地上450㍍)の間の高さになる。

 常盤橋街区には現在、「朝日生命大手町ビル」(高さ119㍍)、「JXビル」(高さ84㍍)、「日本ビル」(高さ51㍍)などがある。完成から43?59年と老朽化の懸念があり、一体として再開発することが決まった。いずれも低いわけではないが、新ビルとは比較にならない。東京駅日本橋口には、新幹線を待つ団体客や修学旅行生が集まり、長距離バスが止まる。


「東京の第一印象」として威圧感を与えるかもしれない。また、周辺のビルで働く人たちにとって、眺望が遮られ、日当たりが悪くなるなどの影響がありそうだ。

「東京駅前の超高層ビル」と聞いて連想するのは、いわゆる「マンハッタン計画」だ。1988年に三菱地所が発表した。国内外からのオフィス需要の急増に応え、丸の内一帯を地上200㍍級のインテリジェントビル60棟が林立する超高層ビル街として再開発し、ニューヨーク・マンハッタンを超える国際金融オフィス街を生み出そうという構想。当時の建物容積率(敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合)は最高1000%で、2000%まで引き上げなければできない計画だった。

 容積率緩和の権限を持つ都は当時、都心への一極集中を「弊害」とみて、「多心型都市づくり」を進めていた。都庁が有楽町から新宿に移転したのも、「多極分散」に構造転換させるため、自らが実践することが理由の一つにあった。都は「マンハッタン計画」発表直後に、東京湾の埋め立て地での「臨海副都心計画」を公表。逆風は厳しかった。………