2015年

11月

09日

電力:英国で潮力発電が本格始動 2015年11月17日号

◇再エネの“真打ち”に企業も期待


野村宗訓

(関西学院大学経済学部教授)


 潮力発電とは、潮の干満差、つまり海の潮の満ち引きの運動エネルギーを利用した発電方法だ。「潟」(遠浅の海岸で満潮の時は隠れ、潮が引くと現れるような場所)で、満潮を利用して海水を取り込んだ後、干潮とともに海水を放出してタービンを回転させて発電を行う。

 今、潮力発電の開発を積極的に推進しているのが英国だ。国のエネルギー政策の中で海洋エネルギーを有効利用する方針を打ち出した。同じ海洋国家の日本が潮力発電を導入する際のモデルとなる。


 ◇GE、プルデンシャルが参加


 再生可能エネルギーである潮力、波力、海流などの海洋エネルギーを利用した発電は、風力、太陽光、地熱、バイオマスによる発電などに対して目立たない存在だ。というのも、海岸線を持っている限られた国しか導入できないからである。また、一般的に利用者の目に触れることがないため認知度が低い。しかし、一日のうちに必ず発生する潮の干満を利用する潮力発電は、安定した電力を確保することができる。

 現在、英エネルギー企業の「タイダル・ラグーン・パワー社」が2018年の完成を目標に、ウェールズ地方で潮力発電所の建設を進めている。スウォンジー湾に約10キロの土手を築いて人工の潟をつくり、そこに発電所を設置する。水位の落差を利用するので、タービンは双方向対応のものが設置される。発電設備は320メガワット(20メガワット16基)だ。今年中に工事に入り、18年に運転開始の予定だ。

 年間発電量は500ギガワット時で、年間15万5000世帯への電力供給が可能という。これによって発電所のある湾岸地帯の人口の約90%をカバーできる計算だ。ちなみに、福島第1原発事故前の同発電所の発電量は、年間約3万ギガワット時。福島原発と比較すると、60分の1に過ぎないが、再生可能エネルギーとしては決して小規模とはいえない。

 潮力発電所には長期的に稼働できるという特徴もある。タイダル・ラグーン・パワー社の場合、およそ120年と見込まれている。これは原子力発電所の40年、火力の50年、水力の60年と比べ倍以上の寿命だ。

 このプロジェクトは総額10億ポンド(約1800億円)で、国際入札に基づき実施主体が選ばれる。発電設備の要であるタービンについては、その交渉権が、すでに米ゼネラル・エレクトリック(GE)とオーストリアのアンドリッツ・ハイドロから成る企業連合に与えられた。