2015年

11月

10日

中央アジア:中国・ロシアが影響力競い合う

 ◇資源に注目集まる中央アジア


中馬瑞貴

(ロシアNIS貿易会研究員)

 

 安倍晋三首相が10月22~28日までの日程で中央アジア5カ国を訪問した。日本の首相が中央アジアを訪問するのは、2006年の小泉純一郎元首相以来9年ぶり。トルクメニスタン、タジキスタン、キルギスの3カ国は初の訪問となった。総勢50の企業・団体を引き連れてトップセールスを展開した。トルクメニスタンでは天然ガス処理プラントなど総額約2兆2000億円の事業に日本企業が参入することに合意。カザフスタンの首都アスタナで演説した安倍首相は、中央アジア5カ国に対して官民で3兆円を超えるビジネスチャンスを創出する考えを示した。

 ただ、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギスの中央アジア5カ国に対しては、旧ソ連の大国ロシアと、資源取引などで結びつきを強める中国の影響力が圧倒的に大きい。対外貿易額では00年前後は各国ともロシアが最大だったが、近年は中国が上位に浮上している。一方、対日貿易額は各国とも全体の1%前後で、日本の存在感は極めて薄い。

 

 ◇00年代に資源で成長

  

 ユーラシア大陸の中心に位置する中央アジア5カ国は、かつては中国と西欧とを結ぶシルクロードの中核を担っていた。だがロシア帝国の進出、ソ連形成によって原料供給地と位置づけられ、主要産業のない経済後進地域となり、1991年の連邦崩壊を経て独立した後も低迷が続いた。

 しかし00年以降は、豊富な資源を背景に経済成長が軌道に乗りつつある。中でもカザフスタンおよびトルクメニスタンは他の3カ国を引き離す勢いで成長を続けている。天然ガスに恵まれたトルクメニスタンは、11年以降、国内総生産(GDP)の2ケタ成長が続き、14年の成長率も10・32%だった。石油やウランなど資源が豊富なカザフスタンは成長率ではトルクメニスタンに劣るが、1人当たりGDPが1万㌦超で、消費市場としても存在感を強めている。

 成長著しい中央アジアに急接近しているのが中国だ。中でも資源供給地として、天然ガスの埋蔵量世界4位(BP発表)のトルクメニスタンとの貿易関係の拡大が著しい。中国はトルクメニスタン国内でガスパイプライン建設および生産に投資し、中国に輸入している。現在、中国の天然ガス輸入の約4割をトルクメニスタンから調達している。

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